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救急車のサイレン使用に理解を 動画が話題の熊本市消防局 制作に至った理由とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

「サイレン鳴らさないで来てもらえますか?」。通報者の要望に指令員は…(画像はスクリーンショット・熊本市消防局作成)
「サイレン鳴らさないで来てもらえますか?」。通報者の要望に指令員は…(画像はスクリーンショット・熊本市消防局作成)

 12月から1月にかけては救急車の出動件数が増加傾向にあります。スムーズな搬送のためにも覚えておきたいのが、「救急車はサイレンを鳴らさないで出動することはできない」ということ。熊本市消防局は今年の11月9日(119番の日)、サイレンの鳴動に関する異例の広報動画を公開し、大きな話題になりました。そこで映像制作に至るまでの経緯や、思わぬ体調不良や事故が増えるこれからの時期に備えた通報時の心構えなどを、同局警防部情報司令課の清水健太さんにお話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

サイレンの鳴動は道路交通法で定められている

 私たちの日々の安心や安全を守ってくれる救急車。出動件数は平成16年以降増加傾向が続いており、「令和2年版 消防白書」によると、1年間で何と国民の21人に1人が救急隊によって搬送された計算になるそうです。

 そうした多くの通報の中には、「サイレンを鳴らさないでほしい」という要望がままあるようです。それには目立って恥ずかしい、近所迷惑、大事にしたくないなど、さまざまな思いがあるでしょう。

 しかし、救急車や消防車が緊急自動車として道路を走行する際、サイレンを鳴らすこと、そして赤色の警光灯を点灯させることは、道路交通法施行令第14条で義務付けられています。ちなみに、それならば「小さめの音で鳴らしてほしい」と考える人もいるかもしれませんが、音量も法律で定められています。

「緊急性低いから…」 リアルな通報音声の再現に反響が

 熊本市消防局は、こうした救急車のサイレン使用に関する理解を広めるため、「No Siren, No Ambulance.~サイレンは命のために鳴らしています~」と題した、緊急走行時のサイレン使用に関する広報動画を制作。大きな注目を集めました。

 動画には、通報後にサイレンを鳴らさず出動することはできないと知って電話を切ってしまった例や、緊急性は低く遅い時間なのでサイレンを鳴らさないでほしいと言ってなかなか聞き入れない例も。とてもリアルな様子が描かれています。

 実は同局は以前から「119番通報のかけ方」など、さまざまな動画を公開してきました。そんな中「全国でも類を見ない動画」と紹介した今回の映像を制作に至った理由について、清水さんは次のように話します。

「通報時に『サイレンを止めてほしい』という要望に対し、応じることができない理由などについて、一刻を争う緊急通報の中だけでは十分に説明することができません。 そこで、継続的な視聴が可能な動画配信サイト(YouTube)に、印象的な動画を公開することで、広く理解を求めたいと考え、制作に至りました」