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救急車のサイレン使用に理解を 動画が話題の熊本市消防局 制作に至った理由とは
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構想から制作まで2年以上 「類を見ない動画」ができるまで
動画のテーマについては、何年も前から慎重に検討を重ねて決定しています。「サイレンを鳴らさないでほしい」という声は、清水さんが警防部に異動してきた2年半前にはすでに問題視され始めていたそう。
「動画の構想はおおよそ2年前からありました。映像に登場する通話音声は、実際の記録をもとに、職員が再現して収録しました。特に『声』に注目していただけるよう黒背景を多用し、あえて動きの少ないカットで表現することにこだわっています。また、通報の内容や応対時の声色など、なるべく本物(実態)に近いものになるよう気をつけました」
撮影と編集にはおよそ1か月かかったそうです。こうして動画は2年以上をかけて完成しました。清水さんは出来上がった動画を初めて観た時、喜びと同時に不安もあったそう。
「完成した動画を観て純粋にうれしかったですが、一方で、『救急車を呼ばないで』と誤った解釈につながらないか心配でもありました。しかし、当局宛に市民の方から応援のお電話をいただくなど、反響をいただいています」
119番通報の心構え 「まずは住所を即答できるように」
救急車は24時間、365日私たち市民の安心と安全を守っています。もちろん雨天で視界が悪い日や見通しの悪い住宅街、昼の何倍も危険な夜道など、さまざまな条件下で出動をしなければなりません。そうした時、サイレンで注意喚起しながら走行することで、事故のリスクは軽減します。
自分自身がいつ救急車を要請する立場になるかは分かりませんが、万が一に備えて、救急車を利用する際の最低限の知識を持つことが大切でしょう。最後に通報時の心構えをお伺いました。
「通報される際には、指令員の質問に順に答えていただくことが肝要です。消防車・救急車が現場にいち早く向かうためには、『まず住所・場所の情報』が必要ですので、少なくともご自身の住所は即答できるように心がけていただきたいです。また、『サイレンを鳴らさないで』という要望については、特に深夜帯などお気持ちは分からなくはないものの、結果として要望には応じることができない点。そして、通報の中で十分に説明することができないという点についてご理解いただきたいと思っております」
救急車の出動件数・搬送人数は増加傾向にあり、救急隊の現場到着時間も遅くなっているといいます。限りある救急車を有効活用し、緊急性の高い傷病者のもとにできるだけ早く救急隊が向かうためにも、一人ひとりが適正な利用を心がけ、指令員の指示に速やかに従う必要があります。そのためにも日頃から緊急時のシミュレーションをしておくといいかもしれません。
緊急を要する場合には迷わずに、すぐに119番を。判断に迷った場合には、「Q助」こと総務省消防庁の「全国版救急受診アプリ」や、「#7119」の救急安心センター(利用可能エリアや実施時間が異なるため要確認)、子どもの急病で悩んだ際は「#8000」の子ども医療電話相談(地域によって実施日時が異なるため要確認)といった、相談先を覚えておくと良いでしょう。
(Hint-Pot編集部)