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英国はクリスマスの準備が早い? デコレーションとクリスマスシーズンの過ごし方
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英国のクリスマスは、日本でのクリスマスイメージとはかけ離れています。そしてそれは、同じクリスチャンの国であるヨーロッパの他の国とも米国とも違い、英国ならではのユニークな歴史に彩られているのです。ロンドンのイルミネーションの写真を見ただけでは分からない、現地の人々の過ごし方やしきたり、日本にはないクリスマスグッズなどを、20年以上英国でクリスマスを過ごしたスチュワード麻子さんが2回にわたってご紹介します。
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8月から始まるクリスマス準備!
有名な高級百貨店である「フォートナム&メイソン」をはじめ英国の一部店舗では、8月には少しずつクリスマス商品を並べ始めます。本格的な商戦が始まるのは11月頃ですが、人によっては夏のセールでプレゼントを準備する人もいるくらいです。
これは英国でプレゼントをお互いに贈り合う習慣があるためで、親から子どもだけではなく成人した子どもから親へ、そして祖父母と孫、親戚同士、親しい友人などすべてが両方向にプレゼントをするのでその数は大変なものになり、出費もバカにならないためです。
イングランド銀行の発表によると、12月の家庭の出費は他の月と比べ平均で700ポンド(2022年12月8日のレートで11万6700円)も跳ね上がり、多くの家庭が通常の生活費を30%近く上回る消費をしています。
これは親戚などが集まるためのワインや食事代が大きく影響していますが、プレゼントもかなりの数になります。ちなみにコロナの影響が出る前、2019年の英国でのクリスマス消費はおよそ270億円。この時期の売り上げは店舗にとっても重要なものです。
サンタクロースからのプレゼントは暖炉横の長靴下へ
また、英国の家庭では、親が用意する子どもたちへのプレゼントは2個が一般的です。一つは親から、そしてもう一つはサンタクロースからのプレゼントです。
当然、高価な方を親からとし(感謝してもらいたいですから!)、サンタクロースからは暖炉横に下げた長靴下へ。小さなプレゼントを靴下からはみ出るようにいくつも詰め込みます。この場所ふさぎのような小さいプレゼントを「ストッキングフィラー」と呼びます。英国英語ではストッキングは日本のように女性用の薄手のものを指さず、長靴下のことです。
ちなみに英国では、米国のようにサンタクロースとは呼ばずに「ファーザー・クリスマス」と呼びます。元々クリスマスに良い子にプレゼントが届けられるという習慣は、キリスト教の聖人セント・ニコラス(英語名:St. Nicholas)の奇跡の話から始まっているのはご存じでしょうか?