仕事・人生
「ベルばら4強」元宝塚スター安奈淳さんが語る当時 周囲が盛り立てた“のんきな子”
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インタビュアー:竹山 マユミ
抜擢は早かったが「のんきな子」 見かねた上級生たちからフォローも
竹山:音楽学校ではかなりの人気者だったと伝わっています。宝塚に入団されてからはいかがだったのですか。
安奈:初舞台もそうでしたけど、私自身、何かそういう必死感がまったくないんです。いわゆる努力家ではなかったですね。何しろ、頑張ろうとか、この人に負けたらいけないとか、そういう負けん気みたいなのがなくて、今も人と競争するような気持ちがあまり湧かない人なんです。
竹山:宝塚は皆さんがトップスターを目指したり、もっと上に行こうと切磋琢磨したり……というイメージもありますが、そういう感じでもなかったのですか。
安奈:今はそうかもしれませんけども、私は自分と人を比べるという意識がなくて、何しろのんきな子でしたね。
竹山:でも、抜擢はとても早かったですよね。
安奈:初めてソロをもらったのが19歳の時。結構早かったかもしれませんね。
竹山:役がついたり、ソロをもらったりすることに関しても、ご自分の役割を果たすことだけに集中していらっしゃったのですか。
安奈:そうですね。私はとにかくしゃべらない子だったんです。若い時とかは、役がつくと取材なども多くなるのですが、記者さんたちが怒ってお帰りになったことが多々ありました。私は人見知りなので、「はい」とか「いいえ」しか言わないから「取材にならへん」って。えらい怒られたことが何回かありました。
竹山:先輩方から何か言われなかったですか。
安奈:稽古場でも隅っこでじっとして、あんまりニコニコしないでしゃべりもしない。でも役はつくわけです。ですから、お昼時になると、心配した上級生たちが引っ張っていって一緒に食事をしてくれるという……。自分で言うのも何だけども、放っておけなかったんじゃないですかね(笑)。
竹山:絶対スターになる素質がおありで、どんなところを見ても皆さんが納得できたこともあって、盛り立ててあげようという機運になっていたのでしょうね。
安奈:上級生にも下級生にも本当にお世話になりました。劇団にいる間、自分では気づかなかったんですけど、そういう人たちに盛り立てていただいていたからこそ13年間もいられたんだと思います。
竹山:高汐巴(元花組トップスター、58期)さんは著書「清く正しく美しく」(日之出出版刊)で「安奈淳さんは各組を超えてジェンヌさんたちの中でファンが多かった」と書かれています。
安奈:一度そういう人たちが集まって、私を囲む会を企画したらしいんですよ。でも、私はそういう会があると言われたような気もするんだけど、すっかり忘れていて。みんなが待っていたのに、私が現れなかったということがあったらしいんです。その話を後から聞いて「ごめんなさい」なんだけど、まったく覚えてなくてね。