仕事・人生
コンプレックスを武器に 身長180センチの元宝塚・悠未ひろさんを変えた「信じる力」
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インタビュアー:竹山 マユミ
コンプレックス――。現代社会において多くの人が抱えるものかもしれません。しかしそれは、状況が変われば誰にも負けない唯一無二の武器になります。宝塚歌劇団の世界をOGたちの視点からクローズアップする「Spirit of タカラヅカ」。今回ご登場いただいたのは、在団当時の宝塚最長身、179センチの男役(現在は公称180センチ)として活躍し、今年芸能生活25周年を迎えた元宙組の悠未ひろさんです。全3回の1回目は、抱えていたコンプレックスをどのように克服してスターへの道を歩んだのか、そして自分をどう変えていったのかについて。宝塚をこよなく愛するフリーアナウンサーの竹山マユミさんがお話を伺いました。
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コンプレックスだった背の高さ 宝塚の男役スターを目の当たりにして「これだ」
竹山マユミさん(以下竹山):今年で芸能生活25周年、おめでとうございます。悠未さんが宝塚を目指そうと思われたきっかけはどんなことだったのですか。
悠未ひろさん(以下悠未):最初は中学3年生の時、漫画「ベルサイユのばら」の愛蔵版を授業中に回し読みしたことです。「ベルばら」は知っていたのですが、改めて読んだ時にすごく引き込まれていきました。その愛蔵版の帯に(宝塚歌劇団が)「20世紀最後のベルばら上演」というようなことが書かれていて、情報が当時あまり入ってこなかったので、これを逃したら観られないのかもしれない、これは観なければ! と思って劇場に行ったのがきっかけでした。
竹山:その時の印象はいかがでしたか。
悠未:全員女性の劇団というのは母から聞いていたのですが、老若男女演じられている出演者の方を見て、本当に全員女性なの? と驚きました。幼少期から学生時代、自分が周りよりも背がすごく高いのがコンプレックスだったので、背筋も丸かったし、小さく見せることばかり考えていて……。この先の人生、自分は身長をこうして低く見せるために、縮こまって生きていくのか……と思っていた時、このタイミングで男役さんの存在を知り「これだ」と。おこがましいですが「私はこれになる」みたいな感じでした。
竹山:「ベルばら」を観劇された中で、どの役に釘付けになられたのですか。
悠未:アンドレです。その時は天海祐希さんが演じられていたのですが、背も高くてかっこいいし、その日から真似ばかりしていました。
竹山:元々、バレエとか声楽などの習い事はされていたのですか。
悠未:父が音楽好きだったので、エレクトーンは子どもの頃に習っていましたが、芸事というのはまったく習っていませんでした。お友達が小学校の頃にバレエを習っていて、発表会とかを毎年観に行く程度。私はすごく引っ込み思案だったので、自分がやるなんてとんでもないという感じでした。でも、心の底では好きだったんです。妹と家の中でだけバレエごっこをやっていましたから。
竹山:宝塚歌劇を実際にご覧になった中学3年生の時から、受験に向けての準備を始められたのですか。
悠未:自分で歌劇のプログラムを観て、宣伝掲載されていた受験スクール(宝塚音楽学校の受験に関する指導を専門とする教室)に手当たり次第、見学に行ってみたりしていました。おとなしくて自分から行動することはほとんどなく、自分の意思もなかったような子だったのですが、宝塚に出会ってからは別人のように自分が変わりました。