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東西で違いが! 新年を祝う「年取り魚」 縁起物とされる理由とは
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ブリが縁起物といわれる理由
ブリは、成長とともに呼び名が変わる出世魚です。大きさによって見た目や味も変わるので、成長や出世する縁起の良い魚として古くから親しまれてきました。
主に関西では、稚魚のモジャコから大きくなるにつれてツバス、ハマチ、メジロ、そしてブリに。関東ではモジャコからワカシ、イナダ、ワラサ、ブリと呼びます。
サケとブリ 栄養の違いは?
サケとブリは、それぞれ成長や繁栄、出世の願いを込めて古くより縁起物の魚とされているようですが、栄養価で違いはあるのでしょうか?
栄養士の和漢歩実さんによると、「時期によって変動はありますが、食品標準成分表によれば、ブリの方が脂質が多くエネルギーが高いことが分かります。カルシウムの吸収率を高め、魚に多いといわれるビタミンDについてはサケの方が多いです」とのこと。
日本食品標準成分表2020年版(八訂)を基にした可食部100グラムあたりのサケ(新巻き生)、ブリ(ぶり生)の主な栄養価は次の通りです。
○エネルギー
サケ:138キロカロリー
ブリ:222キロカロリー
○脂質
サケ:6.1グラム
ブリ:17.6グラム
○タンパク質
サケ:22.8グラム
ブリ:21.4グラム
○ビタミンD
サケ:21.0マイクログラム
ブリ:8.0マイクログラム
栄養素の違いについては「サケにはアスタキサンチンが含まれています。エビやカニにも含まれている成分で、強力な抗酸化作用があり、生活習慣病予防、老化防止などが期待されます。美肌にも良いと注目され、化粧品にも配合されている成分です」と和漢さん。白身魚のサケが赤い身に見えるのは、カロテノイド系の色素であるアスタキサンチンによるものだそう。
脂質を含むといわれると気になりますが、魚の油は良質なもの。「魚の脂質はDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)。これらは不飽和脂肪酸であるオメガ3脂肪酸で、DHAは脳の活性化が、EPAは動脈硬化などの生活習慣病の予防が期待されています」
どちらの年取り魚も積極的にいただきたいところです。健やかな新年になりますように。
(鶴丸 和子)