仕事・人生
母との思い出の味 和田明日香さんの中で息づく食習慣とは
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インスタグラムのフォロワーは35万人以上。絶品料理の数々や、飾らない人柄が支持を集めている和田明日香さん。料理家として、ママとして輝く和田さんの素顔に迫る3回の短期連載。最終回の後編は、和田明日香さんの頭の中について。亡くなった実母との思い出や将来像についても語っていただきました。
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「母ならどういうまなざしでいたかな?」を常に意識
将来は「わがままババア」になっていなければいい。誰かの役に立っていればそれでいい。そう思っています。子どもたちの手が離れたら、地域貢献とかできれば。誰かとつながって、「誰かの役に立てるおばさんになれればいいな」って、ぼんやりと考えています。
私には明確に憧れの人というのはいないのですが、近くにいるちょっと上の世代の女性たちのいろいろなエッセンスを参考にしています。お義母さんやそのマネージャーさん、子どもたちの先生など、ちょっと年上の女性たちがかけてくれた言葉にホッすることがたくさんありました。私もそうした年齢になった時、年下の女性に声をかけてあげられたらいいなと思っています。
それと、憧れとは少し違うのですが、実母はとてもかっこいい女性で、意識している部分もあります。「こんな時、母はどうしていたかな?」とか、「母ならどういうまなざしでいたかな?」とか、そこを常に意識しているように思います。
母は人の悪口を言わない人で、道端で困っている人がいたら自分のことは放っておいて助けてあげたり、知らない若い子たちに説教しに行っちゃったり。正義感が強い人でしたね。
でも、だからといって他人に過干渉なわけではなく、そのバランスがすごくかっこよくて。
母は59歳で亡くなってしまったのですが、それくらいの年齢になったら、その先は母の分も立派な女性として生きなければとも思っています。母が生きられなかった分、一緒に生きているつもりで生きていきたいです。
思い出の味はふるっふるのだし巻き卵
母との思い出の味は数え切れないほどありますが、一つだけ挙げるのであれば「だし巻き卵」です。母は大阪生まれで、卵焼きはだしがたっぷりのしょっぱいタイプ。ふるっふるの卵焼きを上手に焼く人でした。
でも、いざ真似をして自分で作ってみると、ぜんぜん上手に焼けなくて。もうコツを聞くこともできないし、作るのを諦めかけたこともあったんです。でもある時、「私が作らなければ、子どもたちもあの味を知ることはない。母の味が途絶えてしまうのでは?」って思って。
それからは練習あるのみ。ようやく似たような感じで作れるようになり、先日弟が来た時に試しに卵焼きを出したら「うまい!」って言ってもらえて。母の味を直に知っている弟にそう言ってもらえたということは、「目指していたものに近づけたかな?」ってうれしかったですね。
コツは火力を恐れないこと。卵料理はある程度、強火じゃないとふわっとならないんです。でも、強火にすると固まるのが早くなり失敗しやすい。そこを恐れず、ぐちゃぐちゃでもいいから強火でサッと焼いて、最後で帳尻を合わせる。
とにかく練習あるのみなので、初心者向けではありませんね。今、2023年3月に発売予定の新しいレシピ本を準備しているのですが、その中でも紹介していて。基本的には、初心者でも誰にでも作れる料理を紹介しているつもりですが、だし巻き卵のページは挑戦してみたいと思う人だけ読んでくれればいいと思って作ってます。