仕事・人生
母との思い出の味 和田明日香さんの中で息づく食習慣とは
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作る品数が多いのはまったり晩酌をする両親が憧れだったから
仕事をしていると、最初は料理がまったくできなかった私も、両親の影響を強く受けているんだなと実感することがあります。「家事ヤロウ!!!」(テレビ朝日)でもそうですが、「一度に作る品数が多いですね」って言われます。でもそれは間違いなく「自分が食べたいから!」。ビールでも飲みながら、ゆ~っくりいろいろとつまみたいんですよ。
私の両親は、いつも楽しそうにお酒を飲みながらお互いの仕事の話をして盛り上がっていました。子どもの頃からその姿を見て「いいなあ、大人って。楽しそうだなあ」ってずっと憧れていたんです。
母はつまみが足りなくなると、お餅を小さく角切りにして揚げて、ささっとおかきを作ったりしていたなとか、そういうちょっとしたことを思い出すんです。
ちなみに、和田家はせっかちが多いので、食べるのがすごい早いんですよ! 例えばお鍋をする時、私は食べたい具材を少しずつ入れて食べるものだと思っていたのですが、和田家では鍋に具材がMAX入った状態で食べ始めます。それで「はい煮えた!」「これも煮えた!」ってどんどん配られて。
まだ具を食べているのにシメのうどんを入れてしまうし、最初は「え? もしかして急いでるの? 次、何かあるの?」って思ったくらい、テンポが違いました。今ではそんなペースも気にすることなく、私だけ食卓に残ってだらだらちびちび食べて飲んでと、図々しくいられるのでまったく気にしていないんですけどね。
気持ちや頭の切り替えに役立てている「読書」は実父の影響
他にも親の影響を感じるのは、本が好きなところ。言葉が好き、と言った方が正しいかもしれません。本を読んでいると、どんなに物語にのめり込んでいても「この言い回し、おしゃれだな」とか思ってしまうので。レシピ本を作る際も、レシピを考えるよりテキストを書く方に時間をかけている気がします。
実父が執筆業をしていたので、本だけはいくらでも買ってくれたんですよ。でも、幼少期はあまり読んでいなくて……。今の方が積極的に本を読むようになりました。
読み方は、集中して一冊を読み切るのではなく、シチュエーションに合わせてさまざまなジャンルの本を読みます。移動の時はこの本、寝る前はこの本、というように。同時進行で常に何冊か読んでいる感じ。でも、これが気持ちや頭の切り替えにも役立っているんです。
この本読んだら寝る前なんだ、とか、この本読んだら仕事にスイッチ入れる、とか。なかなか読み終わらないし、読み終わった途端に内容を忘れてしまっていることも多いですけどね。
先の目標は持たない 現状維持が抱負
気持ちや頭の切り替えをしっかりとできる方なので、あまり先の目標を決めることはありません。目の前の選択さえ間違えなければ、将来失敗することはないと思っているからです。
なので、来年の抱負は現状維持。目の前の仕事を一生懸命やる。来年は何冊本を出すぞとか、あの番組出るぞといった野心みたいなものはそんなにないですね。
目標としては、まずは3月に出すレシピ本をしっかり、皆様の手に届くように頑張ろうというくらいです。家族を大切に、さまざまなことをうまくバランスを取りながらこなしていけたらいいなと思っています。
料理家、食育インストラクター。東京都出身。3児の母。料理愛好家・平野レミの次男と結婚後、修業を重ね、食育インストラクターの資格を取得。各メディアでのオリジナルレシピ紹介、企業へのレシピ提供など、料理家としての活動の他、“食育”や“家族のコミュニケーション”をテーマにした全国各地での講演会やイベント出演、コラム執筆、ラジオ、CM、ドラマ出演など、幅広く活動する。著書に「10年かかって地味ごはん。」(主婦の友社)や「子どもは相棒 悩まない子育て」(ぴあ刊)、「和田明日香のほったらかしレシピ・献立編」(タツミムック刊)などがある。
(和栗 恵)