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タラはダイエットの“最強食材”? 栄養価を鶏のむね肉と徹底比較

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

鶏のむね肉と比較してみると…

茹でた鶏のむね肉(写真はイメージ)【写真:写真AC】
茹でた鶏のむね肉(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 たんぱく質は、生命維持に不可欠な栄養素です。筋肉や血液の体の組織を作る材料になるだけではなく、体の機能を調節する酵素や抗体などを作る役割もあります。あらゆる年代で日々の食事から摂取しておきたい栄養素です。

 近年は特に、高たんぱく質、低脂質、低カロリーの食材として鶏のむね肉が人気です。味わいは淡泊。鶏肉の他の部位と比べて脂肪分が少ないため、調理法によってはパサパサ感や硬さを感じる場合もあります。しかし、そのまま食べられるサラダチキンが登場したことで、手軽に食べられるようになりました。

 タラと鶏のむね肉のエネルギー、たんぱく質、脂質を比較すると次の通りです。

○タラ(マダラ切り身、生100グラム)
エネルギー:72キロカロリー
たんぱく質:17.6グラム
脂質:0.2グラム

○鶏のむね肉(若鶏、生、皮なし100グラム)
エネルギー:105キロカロリー
たんぱく質:23.3グラム
脂質:1.9グラム

 これらの数字から、同量ならタラよりも鶏のむね肉の方が高カロリーで、たんぱく質も脂質も多いといえます。

 一方で鶏肉にはこの他にも、疲労の軽減と回復に効果のあるイミダゾールジペプチドが含まれています。サプリメントでも注目されている成分です。また鶏のむね肉には、たんぱく質の代謝に必要な補酵素となるビタミンB6も多く含まれています。

焼いたタラ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
焼いたタラ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 タラには、リンやカルシウムの吸収を促し、骨の形成を助けるビタミンDが1マイクログラム含まれています。他の魚よりは少ないのですが、鶏のむね肉の含有量は0.1マイクログラムなので10倍です。子どもの頃、目の健康や歯と骨の発育のために肝油を食べていた人もいるかもしれません。レチノール(ビタミンA)とビタミンDを補給する肝油は元々、タラなどの肝臓から抽出されていた成分です。

 以上より、たんぱく質をしっかりと摂り、筋肉量を減らさずに体重を減らすという観点から見ると、タラと鶏のむね肉はどちらも優れていますが、栄養価の点では鶏のむね肉の方がやや有利といえるでしょう。

 しかし、だからといってそれだけしか食べない極端な食生活は、逆に体調不良の原因になります。食材の味わいや旬を楽しみながらバランス良く食べ、心身ともに健やかな一年にしましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾