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白身魚のタラはなぜ臭みが強いのか? 下処理のポイントは水分 新鮮なものの選び方は
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教えてくれた人:和漢 歩実
淡泊な身が特徴のタラは、他の食材との相性も良く冬の鍋料理に欠かせない白身魚です。高たんぱく質、低脂肪、低カロリーなので、減量が気になる人も積極的に活用したい食材。ただし、独特の臭みが気になる人もいるかもしれません。臭みの正体や下処理、新鮮なものの選び方などを、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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タラの臭みが強い理由
タラの独特な臭みの理由は2つ考えられます。まず1つ目は、うま味成分でもあるトリメチルアミンオキシドです。この成分は魚を水圧から守る働きもしますが、魚の死後は微生物に分解され、腐敗臭の原因になるトリメチルアミンという成分に変化。鮮度が落ちると増えるそうです。深海に生息するタラは、トリメチルアミンオキシドを他の魚よりも多く含んでいるため、独特の臭いはこうした原因物質の影響があるといわれています。
2つ目は、タラに含まれる酵素です。「大口魚(たいこうぎょ)」と呼ばれるほど大食いのタラは、食べられそうなものがあれば砂や石などがあってもかまわず次々と食べてしまいます。それらを消化するために、強力なたんぱく質の分解酵素を持っているのです。死後、この酵素がタラ自身の体を分解するため、臭いの元になると考えられています。
タラはデリケートな魚です。水揚げから店に並ぶまでの短時間でも鮮度が落ちてしまい、わずかに臭みが出ます。できるだけ新鮮なものを選びたいですね。
新鮮なタラの切り身の選び方
店頭で売られているタラの切り身は、パックに入っていることが多いと思います。できるだけ新鮮なものを選ぶために、次の3つのポイントをチェックしましょう。
1. 身にハリがあり色に透明感がある
2. 皮が白っぽくない
3. パックに水が溜まっていない
身の色がくすんでいる、または皮の色が白っぽいものは、鮮度が落ちている可能性があります。またパックの中に水分が溜まっていると、すでに長い時間が経過している場合も。その水分が臭いの元になっていることもあります。