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どうぶつ

生粋の“ドイツ猫”もやっぱり…飼い主にどんな愛情表現を見せる? 在住記者の猫日記

公開日:  /  更新日:

著者:島崎 英純

出会った頃のサツキは警戒心むき出しの女の子

 サツキは我が家に来た当初、相当な警戒心を抱いていました。まだ子猫なので、人間を恐れる感情はなかったようには思います。しかし、見知らぬ場所で母猫やココロ以外の兄弟と離別し、見知らぬ日本人の中年男性と生活をともにしなければならなくなった事実を、なかなか受け入れられなかったのかもしれません。

 ココロが無邪気にキャッキャと新生活を謳歌する中で、サツキはしばらく家の寝室奥のベッド下で過ごす時間が続きました。猫は本能的にセーフティゾーンを見つける術に長けているそうで、出会ったばかりのサツキは僕が手を伸ばしても届かない最低限の範囲を保ちながら、身を潜めるように生活していたように思います。

 また、ココロが食欲旺盛でどんどん体重が増加していく中、サツキの成長はその半分くらいの速度だったのが当初は心配でした。「緊張が解けなくて気疲れしているんだろうか? それとも生まれ故郷に帰って母猫に会いたいのかな?」など、さまざまに思案しました。

 しかしよくよく調べたところ、サツキの成長速度はいたって平均的だそうです。一方でココロは、男の子であることを考慮しても平均より倍くらいの速度で体重が増加していることを知り、逆に驚愕しました。

猫は感受性豊かな生き物 人間に寄り添う優しさも

 猫に関する情報をリサーチしていると、「メス猫はオス猫に比べてクールでマイペース」という傾向を見聞きします。だからサツキも、当初は「典型的なメス猫タイプなんだな」と認識していました。でもある日を境に、彼女との関係に明確な変化が起きたのです。

 とある日、僕は家族の健康面について悪い知らせを受けて落ち込んでいました。僕が思い悩んでも何の解決策にもならないのは承知しながらも、その日は仕事が手につかず、食事をとる気にもなれずに夜更けまでぼんやり。するとサツキが、この家に来てから初めて、僕の膝の上にそっと乗ってきて、体を丸めながら僕の足を舌で舐めてくれたのです。サツキはそのまま1時間くらい、静かに僕に寄り添ってくれました。

 猫は人間の心情に敏感に反応してくれる、感受性豊かな動物。その日以来、僕とサツキの間に張られていた垣根はなくなり、その距離がグッと近くなったように思います。その分、ココロの嫉妬は激しくなったけども(笑)。

 ようやく家族になれた気がした僕ら。その“共生”の日々に、次なる問題が生じます。その詳細は、また次回にて!

(島崎 英純)

島崎 英純(しまざき・ひでずみ)

1970年生まれ。2001年7月から2006年7月までサッカー専門誌「週刊サッカーダイジェスト」(日本スポーツ企画出版社刊)編集部に勤務し、Jリーグ「浦和レッドダイヤモンズ」を5年間担当。2006年8月にフリーライターとして独立。2018年3月からはドイツに拠点を移してヨーロッパのサッカーシーンを中心に取材活動を展開。子どもの頃は家庭で動物とふれあう環境がなかったが、三十路を越えた時期に突如1匹の猫と出会って大の動物好きに。ちなみに犬も大好きで、ドイツの公共交通機関やカフェ、レストランで犬とともに行動する方々の姿を見て感銘を受け、犬との共生も夢見ている。