駐車場争奪戦の激戦区では、マンション敷地内にある駐車場を優先的に使用できる「専用使用権」付き物件が販売されることも。戸数に対して駐車場の絶対数が少ないタワーマンションでは、たとえ高額でもそうした物件が人気を集めるそうです。今回お届けするのは、専用使用権付きの物件を手に入れたものの、他の住人との間に溝が生まれてしまったと嘆くタワマンマダムのお悩み。東京・中目黒で「コレカライフ不動産」を営む不動産のプロ、姉帯裕樹さんのアドバイスとともにお届けします。

　◇　◇　◇

車を持たずに駐車スペースを専有するのは「わがまま」!?

　関西エリアで暮らす花田香里さん（仮名・32歳）は高校時代から交際していた男性と結婚。その後はしばらく賃貸マンションで暮らしていましたが、夫が働く職場から2駅ほどの距離にタワーマンションが建つことを知り、さっそくモデルルーム見学に出かけました。

　大学は違いますが、ともに経済学部出身の夫妻。若い頃から投資で稼いでいたため、頭金の予算には余裕がありました。そこで、少し値段は高くなるものの、子どもが生まれた時など将来を見据えて、駐車場の専用使用権付き物件を選択。3LDKの広く快適な部屋で、きらめく夜景を眺める暮らしを手に入れました。

　しかし、住み始めてから2年ほどで問題が発生します。同じタワマンの住人から「駐車スペースを空いたままにしているのはもったいない。使わないのであれば譲れ！」と、チクチク言われるようになってしまったのです。

「確かに我が家は今、車を持っていません。駅まで徒歩すぐだし、会社も近いし、夫婦揃ってインドア派のため暇さえあればFXで、出かけるとしたらたまに近くの遊園地か和歌山県に行く程度。車の必要性を感じていないんです。

　でも、子どもを2人予定していますし、私たちの生活にも変化があるかもしれません。そのためにも駐車場は確保しておきたいと思い、価格が高い駐車場の専用使用権付き物件を購入しました」

　専用使用権付きですが、駐車場の利用料は別に支払う必要があるそう。夫妻はこれまで滞納せず支払っています。ただ、タワマンの駐車場は周辺に比べて料金が安いため、そこに停めたいと思う人が多いようです。

「でも、専用使用権を購入している以上、他の人から文句を言われる筋合いはないと思うんです。それでも『使わないなら権利を放棄しているのと同等だ』や『わがまま』など言われると、どうにも落ち込んでしまって……」