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「使わないなら譲れ!」 タワマン駐車場めぐりトラブル…専用使用権を持つマダムの嘆き

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:姉帯 裕樹

中古の専用使用権付き物件には要注意

 今回もお話を伺うのは、コレカライフ不動産の姉帯裕樹さんです。駐車場の専用使用権付き物件とは、そもそもどういうものなのでしょうか。

「その名の通り、敷地内の駐車場を専用使用する権利が付いているということ。駐車場に空きが出たり、抽選に当たったりする日が来るまで待つ必要がないため、資金に余裕がある層には人気のようです。

 マンション購入時の支払い金額によって、購入後に駐車場使用料を払わず利用できるタイプや、今回の香里さんのように、購入はあくまでも優先して使用できる権利だけで、月額使用料を別に徴収されるタイプもあります」

 後者の場合、駐車場を使用しないことに問題はあるのでしょうか?

「もちろん何の問題も、文句をつける人を相手にする必要もありません。あまりにうるさいようであれば管理人や管理組合に相談し、相手に注意してもらうといいと思います。ただし、香里さんは新築で購入していますが、同じ専用使用権付きでも中古物件には要注意。権利が失効している可能性を踏まえ、契約書や管理規約を見直す必要があります」

 マンション敷地内の駐車場は共有敷地。特定の個人の持ち物ではないため、不動産売買で取り交わす権利書には駐車場についての記載がないのだそう。

「原則として、売買時には駐車場の専用使用権も引き継がれるはずですが、契約内容によってはそれができない場合もあります。よくよく管理規約を読んだら使用期限が付いていた……なんてことも。中古で購入する際は、その辺りを必ず確認しましょう」

購入を考えているなら重箱の隅をつつく勢いで確認を!

 また、あくまでも「使用する権利がある」だけということにも注意が必要です。

「未来永劫使用できるわけでも、駐車スペースを自分の好き勝手に使用できるわけでもありません。管理組合の決議により駐車場がつぶされてしまった……なんてことも、実際に起こったようです。

 そうしたこともあってか、以前から専用使用権を付けた販売はトラブルにつながるとみられています。1979(昭和54)年には、当時の建設省(現在の国土交通省)からの通達で『分譲業者が共有敷地等に専用使用権を設定してその使用料を得る等の例』が『取引の形態としては好ましくない』とされました。今後購入を考えている方は、重箱の隅をつつく勢いで確認してから購入しましょう」

 数が少ないことから、奪い合いに発展しているケースもあるというタワマンの駐車場。トラブルに巻き込まれないためにも、しっかり見極めてから購入をおすすめします。

(和栗 恵)

姉帯 裕樹(あねたい・ひろき)

「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。