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「やっぱり子どもが欲しい」 結婚後に言い始めた夫 子を望まない妻の苦悩
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教えてくれた人:夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ
夫婦関係の形はさまざまです。人間同士、時には些細なことでケンカになったり、ふとしたことで絆が深まったりすることもあるでしょう。正解がないからこそ、悩みは絶えないのかもしれません。この連載は、夫婦関係の悩みを夫婦カウンセラーの原嶋めぐみさんからアドバイスとともにお届けします。今回は、子どもを持たないことを前提に結婚したものの、夫側の気持ちが変わり、最近は離婚も考えていると話す30代女性の悩みです。
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姉や両親の世話に追われる30代女性 結婚時の約束とは
関東地方にお住まいの柏木花代さん(仮名・36歳)は、2018年に8歳年上の夫と結婚しました。しかし、すでに夫から心が離れつつあり、離婚を考えているとのこと。以下は、花代さんのお話です。
私には自閉症のため生活に支援が必要な2つ上の姉がいて、若い頃からヤングケアラーとして姉の面倒を見てきました。両親ともに健在ですが、40代で体を壊した父親はフルタイムで働くことができず、時短勤務のためパートタイム程度の収入しかありません。母親も飲食店にパートに出て家計を支えてきましたが、家族4人が暮らしていくのでやっとの状態。そのため、炊事や洗濯、掃除などできる限りのことを私が手伝ってきました。
そんな私に結婚を申し込んできたのが、私が高校卒業後に就職した会社の取引先にいた夫だったんです。付き合うにあたって家庭環境を話し、厳しい生活状況にあるため結婚は考えられないし、ましてや子どもを産み育てることなどできないと何度も伝えました。それでも、「僕と結婚すれば援助もできる。子どももいらない。一緒にいられるだけでいい」とアプローチを続ける夫に根負け。子どもを持たないDINKS(ディンクス、Double Income No Kids)の約束で、結婚することになりました。
夫のご両親からは猛反対に遭いました。それでも夫が間に入ってくれて、これ以上文句を言うなら家族の縁を切るとまで言ってくれたんです。夫は大らかで動じない性格。なので、子どもはいなくてもこの人と2人ならきっと楽しく暮らしていける、この人となら自分らしい生き方ができる、そう思っていました。
夫の考えに変化 「欲しくなったんだからしょうがないでしょ」
姉の世話がしやすいよう実家の近くにアパートを借りて、新婚生活をスタート。私はパートタイムに仕事を変えて時間をやりくりし、自身の家と実家、2つの家の家事をこなすことになりました。とても大変でしたが、夫の笑顔を見るだけで癒やされたので、つらいなんてこれっぽっちも思いませんでした。
しかし、コロナ禍が続く昨年春のこと。「やっぱり子どもが欲しい」と、夫が言い出したのです。夫婦生活はあったものの、妊娠しないよう気をつけてきたので、その言葉は青天の霹靂でした。子どもを欲しがる理由を聞いてみても「何となく欲しくなっただけ」と、言葉を濁すだけで……。
現状を再度説明し、出産・育児をする時間も金銭的な余裕もないことや、夫も納得の上で結婚を決めたはずであることを伝えました。しかし、夫はただ「でも、欲しくなったんだからしょうがないでしょ」と繰り返すのみでした。
あくまでも私の想像ですが――2年前に夫の弟が授かり婚をし、義父母が孫にメロメロになっているのを見て、うらやましくなったのだと思います。でも、弟がうらやましいだけで、私が妊娠・出産した後のことはまったく考えていないんですよね。夫自身は家事が何もできないのに……。まだ結婚から4年ですが、最近は離婚するしかないのかと感じています。