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子どもが巣立った後に「夫アレルギー」に 30年近く連れ添った妻が決断した「熟年離婚」の末路とは…

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

すべてうまくいくわけじゃない… 熟年離婚を決断するのはなぜ?(写真はイメージ)【写真:写真AC】
すべてうまくいくわけじゃない… 熟年離婚を決断するのはなぜ?(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 2005年に放送されたテレビドラマのタイトルから認知が広がった、20年以上連れ添った夫婦が離婚する「熟年離婚」。そこまで長く連れ添ったのに「なぜ?」と、周囲も当の本人たちも動揺を隠せないことが多いようです。今回は「熟年離婚」に踏み切った59歳女性に話を聞きました。一般的に、熟年夫婦は「生活習慣」「金銭問題」「子育て」「実家との付き合い」など、40代の頃からさまざまな悩みを抱えているようです。

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コップの水が突如あふれるように… 妻は離婚を切り出した

 28歳で、当時会社の同僚だったご主人と結婚。男女2児に恵まれ、ごく一般的な家庭を築いてきたという兼業主婦の佐藤瑛子さん(仮名・59歳)はこの春、ご主人に離婚を切り出しました。結婚してから約30年。人生の半分の時間をともにしてきたご主人との別れを決意したのは、どのような理由だったのでしょうか。

「理由を挙げろと言われても……コレといった決め手は特にないんですよね。ただひたすらに毎日積み重なっていたものが、ある日突然決壊した……と言うんでしょうか」

 コップの水が突如あふれるように、突然「夫アレルギー」にかかってしまったという瑛子さん。

「子どもが小さく手がかかっていた30代くらいまでは、ごく普通に仲の良い夫婦だったと思います。子どもを連れて旅行に行ったり、運動会も夫婦揃って見に行ったり。と言っても、不満は多々ありました。育児への不参加や、趣味を優先しすぎるきらいがあって……それでも、子どもが小さかったので、当時は離婚しようとまでは思っていませんでした。

 ただ、夫は……何て言うか、少し“ズルい”タイプなんですよ。外面が良いので家の外ではいつもニコニコ。でも、家の中では不満があるとしばらくふてくされているタイプで。子どもの前では、夫のそういう態度に怒らないよう、私の方が気を遣っていたんです。でも、2年ほど前に子どもが2人とも巣立って家を出て……そうしたら、夫に合わせた生活を送ることが、何だかバカバカしくなってしまって。『あの時はこんなことをされた、こんなことをされた』って。これまでに経験したさまざまな想いがどんどんよみがえってきて、たまらなく嫌になってしまったんです」

 ご主人との生活は、堰を切ったかのように激変。食事を一緒に取ることがなくなり、家事は最低限のもの(洗濯、共有部分の掃除)のみ瑛子さんが担当。できるだけ顔を合わせないような生活を始めたといいます。ご主人からはもちろん苦情が出ましたが、「これまで我慢していたのだから、好きに生きていきたい」と通告。以来、瑛子さんは勝手口から、ご主人は玄関から出入りをするようになり、完全な家庭内別居生活になりました。