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仕事・人生

福祉ネイルのボランティア団体代表 「誰もが年を取ることが楽しみになる社会」への思い

公開日:  /  更新日:

著者:坂本 俊夫

福祉ネイルボランティア団体代表の松本知美さん(左)【写真提供:松本知美】
福祉ネイルボランティア団体代表の松本知美さん(左)【写真提供:松本知美】

 ボランティア団体「ガンチー」を友人と立ち上げた松本知美さん。高齢者施設や障害者介護施設などで福祉ネイルのボランティア活動を行う同団体は、コロナ禍の中でもスタッフや支援団体が増え、順調に取り組みの幅を広げています。さまざまな分野で活躍する女性たちにスポットライトを当て、その人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。今回は同団体をリードする松本さんの後編です。ボランティアを始めて輝くようになったという日々などについて、お話を伺いました。

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15以上の企業、団体から支援

 松本さんたちが高齢者や障害者などに行うネイルケアは、もちろんすべて無償です。しかし、ネイルの材料や移動費など、コストはかかります。それを支援してくれる団体や企業を確保するのも松本さんたちの大切な仕事。まずは支援がなければ成り立ちません。

「約2年の短期間で15以上の企業、団体からのご支援をいただいています。私たちはそれぞれの仕事をしながら活動しています。スポンサー集めや事務作業は自分たちの休みの日にしかできないというデメリットがありますが、仕事で培った経験を生かせる強みはあります。

 例えば私なら、京都府サッカー協会時代に培った書類作成などの経験が生きています。支援の応募をする際、申請書類を提出してから審査が始まるのですが、資料が見やすいなどと言っていただくことも。たくさんの中から選んでいただくので、これは意外と大切なのです。そんなこともあり、驚くほどのスピードで支援企業や団体が決まりました。

 また、『こういうところからご支援をいただいて活動している』と周知させるため、ボランティア活動時はもちろん、マスコミの取材を受ける際や何か表彰していただく際などは、着用するユニフォームエプロンに支援企業や財団の名前のワッペンを必ずつけています。ご支援は大体1年で区切られるのですが、ワッペンのおかげか続けて支援してくださるところが多いですね。これも、私がサッカーの世界にいた経験によるものです。サッカー選手は支援する企業などのワッペンをユニフォームにつけていますから」

サッカーユニフォームをヒントに! エプロンには支援企業などのワッペンがびっしり【写真提供:松本知美】
サッカーユニフォームをヒントに! エプロンには支援企業などのワッペンがびっしり【写真提供:松本知美】

 支援者だけでなく、「ガンチー」の活動に共鳴しスタッフに加わる人も増えています。ヘルパーの資格を持ちデイサービス相談員の経験がある人、福祉専門の学校を出た人、歯科衛生士の人など、さまざまなキャリアを持つ人が集まりました。また、副代表の岩田さんは茶道裏千家の専任講師でもあります。

 現在のスタッフは約20人ですが、すべてに応えられていないほど依頼が入っていて、目下スタッフ募集中とのこと。福祉ネイリストの資格が必ずいるというわけではないそうです。

「ネイル施術は福祉ネイリストに限らず、類似資格があれば施術していただけます。資格がなくても、ネイルドライというネイルを乾かす作業や、リウマチなどで手が開きにくいけれどやってほしいという方のサポートなどお手伝いいただくことは多いので、資格の有無にかかわらず募集しています」