仕事・人生
ケニアで見つけた自分の個性 就活60社全落ちからアパレルブランド起業の道のり
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夫と一緒に移住したケニアで、アパレルブランド「RAHA KENYA(ラハケニア)」を立ち上げた河野理恵さん。引っ越した当初はアイデンティティを見失いかけていましたが、原色カラーと独創的なデザインがまぶしいアフリカ布がきっかけで、「私」を見つけて起業にたどり着きました。さまざまな分野で活躍する女性たちにスポットライトを当て、その人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。今回の前編では、自分と向き合い個性を見出すまでの経緯や、現地でのハプニング、ブランドへの思いについてお伝えします。
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夫の起業で引っ越した先は…まさかのケニア!
起業した夫からある日、「ケニアに引っ越そう」と言われたら、皆さんはどんな反応をするでしょう。「実は聞いた瞬間『ラッキー!』って思ったんですよ」と、河野さんは屈託なく笑います。
「アフリカって国際協力をする方だったり本当に覚悟を持って行く人が多いイメージ。そういう場所に『夫に付いてきました』と行けるのはラッキーだなって。生活も想像できないし、生命力が付きそう。自分がどう変わるんだろうっていう興味の方が大きかったですね」
移住する前のケニアの印象は「昔のままで動物や自然が多くて、本気で木の家に住むと思っていました(笑)」。でも2018年に降り立ったナイロビは、想像と正反対の世界でした。「一番驚いたのは高層ビル群。次に驚いたのは“M-PESA”という電子マネーの普及。国民の約9割が使用しています。私は日本で現金主義だったので驚きました」
確かに決して治安は良いとは言えず、貧困率も高い国です。その一方で「ポジティブで明るいケニアが見えてきて、こういう一面が何で日本に伝わらないんだろうって思いました」。夫からの勧めもあり、ケニアでの日常をSNSで発信し始めることに。「生活のリアルを発信し始めたら、結構反応が良くて。みんなSNSで情報を集めているんだって実感しました」といいます。
当初は、赤タマネギの卸売事業をする起業家の“嫁”をブランディングしようと「嫁of玉ねぎおじさん」として情報発信。フォロワーからの「嫁さん」という呼ばれ方が定着すると、少し居心地の悪さが湧いてきました。
「あれ? 河野理恵っていう存在が消えてる。私って“嫁”でしかないんだ……」