どうぶつ
“飼い主ロス”になる保護猫も 「猫の日」に考える殺処分ゼロのためにできること
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ペットの所有者には「終生飼養の努力義務」がある
現在、東京支部では1日に平均して5~6件、行き場のない猫の保護依頼があります。多い日は10件以上になることも。しかも、引き取りの数は1件につき1匹ではなく、だいたい2~3匹。私たちは非営利の民間団体のため、依頼者にやむを得ない理由があった場合にのみ保護を引き受けています。そのため、すべての猫を保護できるわけではないというのが現状です。
引き取りの依頼者のなかには、「飼えなくなったから引き取ってほしい」「保護したけれどうちでは飼えないから」という人もいます。もちろん、一緒に暮らせないことにはさまざまな理由があると思います。しかし、所有者にはペットに関する法律として「終生飼養の努力義務」が定められており、絶対に守らなければなりません。無責任な育児放棄は法律違反です。もちろん、保護団体へむやみにペットの引き取りを依頼するようなこともあってはなりません。
一緒に暮らしていたペットが亡くなったことで「ペットロスになった」という飼い主たちの声もよく耳にするようになりましたが、それはペットたちも同じです。飼い主に手離されたことで、ペットたちが「飼い主ロス」に陥ってしまうことをよく理解してほしいと思います。
新しい家族と出会えないまま最期を迎える保護猫も
日本では、幼齢の保護猫はすぐに里親が決まります。しかし、歳を取っていれば何年経っても譲渡先は見つかりません。高齢の保護猫たちは、新しい家族を見つけられないままシェルターで命が尽きることがほとんどです。人によって飼われ、飼育放棄され、最期は家族のいないまま亡くなっていく姿には大変心が痛みます。
「かわいい」や「かわいそう」といった感情だけでは、猫を幸せにすることはできません。保護猫のお迎えを考えている人たちは、以下の2つのことを必ず守ってください。
・猫の習性と飼育方法、猫のデメリットを知ったうえで飼うこと
・飼う前に猫アレルギーの検査をすること
そして、猫が生きる15~20年ほどの時間のなかで、自分の結婚や出産、仕事の転勤、親の介護、病気……ライフスタイルの変化や年齢を想定して、猫の命が尽きる最期の日まで、しっかり責任を持って面倒を見ることができるかをよく考えることが大切です。
「人と動物の共生」を達成するために
最近では、保護猫の会員制サービスが話題となりました。一見、猫のためであるかのように思えても、よく調べてみると、人間目線だけの一方向からしか見ていないサービスが散見されます。
しかし、猫が幸せになるための、猫目線のサービスを作ろうとするとそれなりの資金が必要で、存続が難しいのも現実です。利益や人間だけが楽しむことだけを目的とせず、猫も人間も幸せになれるよう「人と動物の共生」を達成するために、必要なことをもっとしっかり考えるべきだと思います。
飼う側一人ひとりが、猫たちの命の重さに責任を持って迎え入れることができれば、保護猫という存在も生まれないはずです。保護猫への関心が高まっていますが、その一方で少子高齢化も進み、今後ますますペットの飼育放棄が増える可能性もあるでしょう。そうならないためにも、飼い主たちが動物の命に対する意識をもっと向上させることを望みます。
(Hint-Pot編集部)