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修学旅行費用を子どもが捻出する家庭も 米国と日本 学校行事の違いとは

公開日:  /  更新日:

著者:小田島 勢子

学校行事の参加は生徒側の事情などを優先

学校のクラスメイトの誕生日会。親の国籍も多種多様【写真:小田島勢子】
学校のクラスメイトの誕生日会。親の国籍も多種多様【写真:小田島勢子】

 学校生活で思い出に残る行事といえば、課外授業もそのひとつ。日本には、原則的に同学年の全員が参加する修学旅行があるでしょう。米国の学校でも、修学旅行といえば、日本と同じように子どもたちが親や家から離れて過ごす数日間なのですが、必ずしも全員参加の行事とは限りません。また学校によって休みや課外行事の方針も異なるので、すべてが同じではありません。

 娘たちが通う公立の学校では、修学旅行などの課外授業に参加するのは希望する、または可能な生徒です。宗教上の理由や親の方針、参加費を支払うことが難しいなど事情はそれぞれあり、参加しない生徒たちは学校にとどまり学習をします。

 参加する場合、親が費用を出すのではなく、子ども自身が捻出する家族もあります。低学年の子どもは、親や祖父母の手伝いをしたり、土日に洗車や犬の散歩をしたりして参加費を得ることも。中学生にもなると、学校が業者価格で用意したチョコレートやイベントチケットなどを親が買い取り、それを子どもが参加費用の捻出として、知り合いや親戚などに販売するケースもあります。中学校に通う娘によると、放課後になると校舎で同級生がチョコレートを販売し、友人や先生がそれを購入するのはよくある光景だといいます。

 自ら修学旅行の費用を集めたり、友達が一緒に参加できるよう協力をしたり。学校側にもサポートするシステムが整っていることは、日本で育った私にとってとても興味深いものでした。それぞれの環境や事情を踏まえ、選択ができること。また、望みを叶えるために努力する側も、サポートする側にも年齢や関係性などの隔たりはなく、自分たちがお互いにできることをする――そんな姿勢を小さな頃から体感しながら育つ環境は現実的で、ある意味シビアな面もありますが、多様性を受け入れ互いを尊重する心につながるのではと感じています。

 同時に、米国で暮らし親になり、習慣の異なる土地で子育てをしている今、自身が学生の頃に自由と安心の中たくさんの体験をさせてもらっていたことに、改めて親への感謝の気持ちでいっぱいになりました。

(小田島 勢子)

小田島 勢子(おだしま・せいこ)

ナチュラリスト。結婚を機に2004年に南カリフォルニア州へ移住し、3人の女の子を米国で出産。ロサンゼルスの片田舎でバックヤードに鶏たちと豚のスイ、犬のトウフとともに自然に囲まれた生活を送る。母になったことをきっかけに食や環境の大切さを改めて感じ、できることからコツコツと、手作り調味料や発酵食品、スーパーフードやリビングフードを取り入れた食生活をメインに、食べるものは「できるだけ子どもと一緒に作る」「残さない」がモットー。2015年に「RUSTIC」を設立。日本で取得した調理師の知識や経験を生かして食のアドバイザー、ライフスタイルのコーディネーターとして活動。日米プロスポーツ選手やアクション映画俳優の身体作りのアドバイザー、みそ、お酢、漬け物など発酵食品作りの講師、創作料理のケータリングなど幅広い分野で活躍。
https://rusticfarmla.com/