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「全然良くないね」 正体不明の悪魔に恐怖 クリエイターの苦悩を描く漫画に共感殺到
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「漫画を作るときは毎回」 今でも“ダメ出しの悪魔”と闘うことはしょっちゅう
クリエイティブな職業にとどまらず、さまざまな人にとりつく“ダメ出しの悪魔”を描いた作品について、作者のうえはらさんに詳しいお話を伺いました。
Q. この漫画を描こうと思った理由を教えてください。
「今回の漫画は『ゾワワの神様』というシリーズです。1年半ほど前から、新人コピーライターを主人公に、彼が仕事をするうえで出会ったさまざまな言葉などを漫画にして連載しています。この漫画もそのシリーズの一環として描きました。僕が若手コピーライターだった頃に、いっときまったくアイデアを出せなくなってしまった時期があったので、そのときの思い出を言語化した結果、“ダメ出しの悪魔”の存在を思いついたという感じです」
Q. うえはらさん自身、先輩からの助言で仕事への意識に変化はありましたか?
「この漫画通りの助言を実際にもらったわけではないのですが、僕の周りにはかなり親身になってくれる先輩が多く、アイデアの良い点を挙げてくれたり、根性論ではなく理論的に『どうすればアイデアの幅を出せるようになるか』といったことを教えてくれる方が多かったので、前述の『まったくアイデアが出せなかった』時期からは3か月ほどで脱却できたと記憶しています」
Q. 今も“ダメ出しの悪魔”と闘うことはありますか? 打ち勝つためにやっていることがあれば教えてください。
「しょっちゅうあります! 漫画を作るときは毎回闘っているような気がします(笑)。とくに意識していることとしては、締め切りがゆるい仕事でも自分の中で細かいデッドラインを決めることと、自分で満足のいくくらい、じっくり思考できるだけの時間をちゃんと確保することです。口で言うのは簡単で、実際にはうまくできていないことのほうが多いですが……(笑)」
Q. そのほかにも、クリエイターならではの悩みなどがあれば教えてください。
「最近は“孤独の悪魔”と戦っています。漫画家という仕事はどうしても個人でこもって作業をする時間が多いので、会社員時代のワイワイとチームで仕事をしていた頃の自分がうらやましく思えます。なので、漫画家同士が集まって情報交換をしたり、作業を共有したりできる場所を作ることを最近は人生の目標のひとつにしています」
Q. 読者からの感想で印象に残ったものがあれば教えてください。
「この『ゾワワの神様』シリーズは、たびたび広告界隈以外の人から共感の声をいただくのですが、今回はかつてないほどにさまざまな領域の人からコメントをいただけたのが印象的でした。『プラモデル作ってるときにも感じる』『主婦業でもたびたびこの“悪魔”と戦う』『クリエイターだけの現象だけじゃないよね』といったもので、ダメ出しと葛藤するのは、人間のあらゆる活動につきまとうことなのかもしれないなと考え直しました」
読みごたえたっぷりな、うえはらさんの「ゾワワの神様」シリーズ。バックナンバーは2月から電子書店も配信中です。
(Hint-Pot編集部)