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仕事・人生

「地域おこし協力隊」 具体的な仕事内容は? 50代で移住した元記者が始めた新たな取り組み

公開日:  /  更新日:

著者:芳賀 宏

広報PRも活動のひとつ 町の知名度アップのための戦略とは

 当然ながらSNSを駆使した発信も必要不可欠です。企業から小さな商店、自治体もその例に漏れません。立科町にもフェイスブックやツイッター、インスタグラムのアカウントがあるのですが、あまり活用されていませんでした。

 たとえば、インスタグラムは「公式」を謳いながら、実態は町の写真愛好家の方々が撮影した風景写真がアップされているだけ。そこで若い担当職員に「広報媒体として、我々できちんと管理しましょう」と指示しました。インスタグラムは速報性が高く、ハッシュタグの付け方しだいで大きく拡散します。四季の風景だけでなく、イベントや協力隊の活動などをアップするようにしたところ、わずか数十人だったフォロワーは半年足らずで800人を超えました。

 すると、この職員は新たに「note」の開設を提案してきました。SNSの多くが短文主体なのに対し、こちらは「読み物」が中心。難しいのでは……と思ったのですが、同僚の協力隊による「リンゴ農家1年目」の様子や、別の協力隊が実施した「移住者向け住宅のDIY」をコンテンツにすると、ビュー数は1万を突破しました。まだまだ攻めも見直しも必要ですが、若い人の意見を取り入れ、まずはやってみることが大事だと痛感しています。

 ふるさと納税へのアドバイスは、ちょっと変わった活動かもしれません。返礼品としてリンゴ、お米、ワインなど地場産品はすでにありましたが、提案して実現したのは「蓼科牛まるごと一頭」。寄付額は300万円、頭からシッポまで部位ごとに12回に分けてお届けするというものです。

 町内で肥育されたブランド牛の蓼科牛を知ってもらうと同時に、これは町の知名度を上げるための戦略なのです。担当職員には「まずは話題になること。寄付をいただければ、なおありがたい」という考え方を説明しました。まだ明かせない返礼品プランもありますが、町外に「立科町ってなんだかおもしろいね」と思ってもらえることが狙いです。

 これほど好き勝手にやっている「地域おこし協力隊」は、少々異質な存在かもしれません。役場には役場の論理があるのは承知のうえですが、そんな中でも若い職員にチャレンジと成功体験を積んでほしいと願っています。なぜなら、町を活性化させる主役は、そこで暮らす人たち自身をもってほかにいないと思うからです。

(芳賀 宏)