Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

ライフスタイル

しつけで体罰を与える妻 悩む夫に夫婦カウンセラーがアドバイス

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ

息子の太ももについたいくつものアザに愕然

 心配する母をなだめ、飛行機に乗せてから急いで自宅に戻ると、すぐに寝ている息子の太ももを確認しました。するとそこには、青くなったり赤黒くなったりしている、誰かにつねられたような多くのアザが。考えてみたら、子どもを肩車しようとしたら太ももを押さえて痛がったり、夏でも長ズボンをはいていたり、見落としていた小さな違和感が脳裏をよぎりました。

 息子の前から動けずにいると、「何をしているの?」と妻が声をかけてきました。そして、妻は私がアザを確認していることに気づいたようで、しつけの一環でつねっていることを悪びれもせずに話し出したのです。息子が言うことを聞かないと太ももを強くつねっているそうで、「男の子はこれくらいしないとまっとうに育たない」というのが妻の主張でした。

 執拗につけられたアザは、私から見るとただの虐待にしか思えません。それ以来、妻に対し体罰は二度と与えないでほしいと訴えていますが、妻は「普通のこと」だとまったく理解してくれません。

 息子のためにも妻としばらく距離を取りたい、それでも考えが改まらないようなら離婚も視野に入れたいと考えていますが、幼い子どもたちの親権は環境的に妻へ渡ってしまう可能性が高いのではないか……。そう考えると、なかなか強硬手段に出られません。私はどうすればいいのでしょうか。

早急に対応を 理解を促すためにまずは第三者を交えた話し合い

 つねることは典型的な身体的虐待であり、「法律で禁止されている」と夫婦カウンセラーの原嶋さんは言います。そのことを妻に理解してもらい、夫婦が歩み寄る方法はあるのでしょうか。

「体罰というと、殴ったり蹴ったりという強い暴力をイメージする方がいるかもしれません。しかし、体の一部をつねる、強く引っ張る、はたくといった、以前は『しつけの範疇』とされていた行為も体罰とみなされます。虐待は子どもの自己肯定感を下げるなど、将来に影響を及ぼす可能性が高いです。そのため、早急に対応したほうがいいでしょう。

 妻が洋司さんの言葉を意に介さないというのであれば、まずは心理カウンセラーや夫婦共通の友人など、第三者を含めて夫婦間の話し合いを行うことをおすすめします。そのうえで離婚もやむなしと考え、親権を得たいと思っているのであれば、虐待の頻度や状況を息子さんから聞き取り、アザの状態を撮影するなどして、すべて記録するようにしましょう」

 虐待は身体的暴力だけではありません。ほかの子と比べたり、どうせできないなどと傷付ける言葉をかけたりすることも虐待です。原嶋さんは「今後は親もそうしたことをしっかりと学ぶべきでしょう」と語っています。

(和栗 恵)