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育児を“見張る”のではなく“見守る”雰囲気に…女性監督が考える周囲のあるべき形とは

著者:関口 裕子

『あした、授業参観いくから。』の主演は片岡礼子さん
『あした、授業参観いくから。』の主演は片岡礼子さん

 大手家電メーカーに約10年勤めた後、上野樹里さんと沢田研二さんが親子を演じた『幸福(しあわせ)のスイッチ』で商業監督デビューを果たした安田真奈監督。その作品で映画賞を受賞するも同年末に出産し、監督のキャリアからは遠ざかりました。11年間の子育て中は脚本業をメインにしつつ、17年には監督業に復帰。小芝風花主演の『TUNAガール』などを世に送り出しています。また、独自のキャリアを歩む間には働く女性として壁にもぶつかりました。今回のインタビュー後編では、親子と家族の関係について切り込む最新作『あした、授業参観いくから。』などについてお話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

子育てで大切なのは「お母さんも完璧ではない」と伝えること

 子どもについては叱りたくなることもままありますが(笑)、自分のやりたいことや言いたいことは主張できる子になったので、子育ては「まあ、こんな感じで良かったかな」と。大切なのは、適度に「お母さんはしんどい時もある、完璧にはできない」と伝えておくこと。そうしないと母を頼りすぎて、何もしない子になるので。

 もう一つ、子どもが何かうまいことやった時に、さらにやる気が出る魔法の言葉があります。「お母さんの中学生時代よりすごいわ~」。そう言われると「俺、親を超えたかも……」と、モチベーションが上がるようです(笑)。

 女性監督の場合、育児で忙しそうだと思われて仕事の誘いが来なくなる……という話をよく聞きます。劇場デビューの『幸福(しあわせ)のスイッチ』の直後、監督や脚本の依頼が何件かありました。でも、乳児のうちは撮影現場に出づらいので、断るしかない。そうこうするうちに、声がかからなくなりました。

 育児で忙しいと思われたのでしょう。子どもが急に熱を出すこともあるので、実際難しかったかもしれませんね。次第に、脚本業のみになりました。

 子育て自体は、自分の作家としてのキャリアにとってプラスになったと思います。「お子さんがいるから」「母親目線で」と頼まれた脚本仕事も何件かあります。でも業界的には、「ママだから頼みにくい」というフィルターはちょっとしんどいですね。撮影には出づらいよね、脚本打ち合わせは昼しかできないんだよね、という空気。映像業界は男性が多く、夜中までの作業も多いので、そう思われても仕方ないのですが……。

 ようやく監督として撮影現場に戻れたのは、子育て11年目。兵庫県加古川市のご当地映画『36.8℃ サンジュウロクドハチブ』(2017)です。プロデューサーが「安田さん、そろそろお子さん大きくなったんじゃないですか? 監督と脚本、頼めます?」と連絡をくださったんです。撮影時期がお盆の頃だったので、夫に1週間子どもを託せました。

 11年の間、脚本の仕事をしながら「また監督もしたいんです」「こんな映画を撮りたいんです」などといろいろな方に話していたので、依頼していただけたのかも。そうしたアピールがなければ、監督復帰は無理だったかもしれません。

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