ライフスタイル
「親が入社式に出席」どう思う? 新入社員の本音と企業側の狙い
公開日: / 更新日:
専門家に聞く 良好な親子関係の築き方
これらのアンケート結果を踏まえて、親子関係の心理カウンセリングなどを専門に行う株式会社COCOHARELISS代表取締役社長の庄野晴美さんに、親と子それぞれの心理について伺いました。
――実際に親が入社式へ出席したという人が1割を超えた結果になりました。この数字に関してどんな感想をお持ちでしょうか。
「多い印象を受けました。しかし最近では、子どもの入学式や卒業式、運動会などに祖父母も参加する時代です。その延長で、入社式は子どもの晴れ舞台となるわけなので、その姿を見ておきたいという親の思いがあるのではないかと感じました」
――大人である社会人の入社式に出席する親の心理について、どのようなことが考えられるのでしょうか。
「企業への信頼度の不安(ブラック企業、働き方)に対する親の行動心理なのだと思います。どんな企業なのか自分の目で見て確かめておきたいという心理や、新社会人となり自分の手元から巣立っていく子どもの晴れ姿を見届けたい心理などが考えられます」
――ただ、子ども側の視点に立つと「恥ずかしい・気まずい」「本人が成人しているので親は保護者ではない」といった否定的な声が聞かれる一方で、「晴れの舞台を見てほしい」「見守ってほしい」「安心させたい」といった肯定的な声も見受けられます。子ども側の意見から読み取れる心理はありますか?
「どちら側の意見においても、新社会人としての区切りとして個人の素直な意見であり、出席してほしくない人、出席しても良い人、双方の意見のなかに、親に対して『自立』への第一歩となる思いがベースにあるように感じます」
――今回の結果を受けて、ベストな親子関係を築くためにはどのようにしたら良いのでしょうか。
「子育ての最終ゴールとは『子どもを自立させる』ことだと思います。そのためには、双方がある一定の時期にお互いから離れる時期が必要になります。ただ、そうは言っても、社会人になったのだから自分で生きていきなさいと完全に突き放すのではなく、それぞれの家庭で親の思い、子どもの思いを話し合いましょう。お互いに納得のいくように決めていくことが、良い親子関係を築く最善の方法だと考えます。
今回の結果について、賛否の意見があります。しかし、家庭と会社との間での人とのつながり方(関係性の多様性)はすべてが正解であると認めることが大切です。そのうえで、入社式を自分自身と家族、会社との絆を深める機会としてとらえ、それぞれの家庭において、子どもが希望に満ちた社会人としてのスタートを切れるきっかけになってほしいですね」