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子どもにも今時女子にも大人気 “科博”の監修役が語る「恐竜博2023」 なぜ“トゲトゲ”を主役に?

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

(左から)ズール・クルリヴァスタトルとゴルゴサウルスの対峙シーンを再現した全身復元骨格
(左から)ズール・クルリヴァスタトルとゴルゴサウルスの対峙シーンを再現した全身復元骨格

 国立科学博物館で現在開催中の特別展「恐竜博2023」は、子どもからかつては子どもだった大人まで大人気です。2019年夏以来の開催となる今回の主役は“トゲトゲ”。胴体に“トゲトゲ”を持つ日本初公開の鎧竜ズール・クルリヴァスタトルの全身実物化石が目玉になっています。そこで、国立科学博物館の副館長で「恐竜博2023」の監修を務めた真鍋真先生にお話を伺いました。

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キーワードは「“攻める”と“守る”」 鎧竜ズールを入り口に恐竜の進化を読み解く

 ズール・クルリヴァスタトル(以下ズール)という恐竜をご存じでしょうか。特徴は、胴体にある“トゲトゲ”。自分の身を守るためにトゲやプレートを進化させた、装盾類に分類される恐竜です。装盾類とは剣竜と鎧竜の総称で、“究極”の防御のため胴体に板状・トゲ状の突起や鎧を進化させた植物食恐竜の一種です。そのような植物食恐竜たちに対抗するなかで、ティラノサウルス類やメガラプトル類などの肉食恐竜も体を大型化したり、歯や爪を進化させたりしていきます。「恐竜博2023」では、恐竜たちの進化を「“攻める”と“守る”」をキーワードに読み解く構成になっているのだそう。

 その“守る”を代表する恐竜が、今回主役に抜擢されたズールなのです。

「頭から尾の棍棒まで1体分がそろって見つかっている鎧竜のズールは、鎧竜の教科書のような存在です。その実物化石をすべてお借りできることになったので、ズールを中心にした展覧会のストーリーを考えてみました」

 そう教えてくれたのは、同展監修の真鍋先生。今回、メイン展示となるズールは「その完全度の高さ、“トゲトゲ”の先端まできれいに化石として残っていること、トゲとトゲの間の皮膚まで残っていることから、鎧竜の進化を解明する大きな手がかりになる標本だった」そうです。

 攻と守。やはり気になるのは、実際の戦いぶり。化石からわかるのは、「ズールは尾の棍棒で肉食恐竜であるゴルゴサウルスのすねを骨折させた可能性が高い」ということ。その一方で、真鍋先生いわく「仲間同士の争いにも棍棒が使われていたらしいことが、最新の研究で明らかになっています」とのことです。