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穀雨は縁起が良い? 意味と由来を解説 2024年はいつ?
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「穀雨(こくう)」とは、季節の変化を知る目安としてきた二十四節気のひとつ。暖かい春の雨が降り、地上の穀物を潤してくれる時期です。2024年の穀雨はいつからいつまでなのでしょうか。暦の上では春も終盤。この季節の習わしや食べ物について解説します。
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穀雨とは
二十四節気のひとつである「穀雨」は、「こくう」と読みます。二十四節気とは、太陽の動きに合わせて1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにその季節それぞれを6つに分けたもの。全部で24あり、古くより季節を感じる目安として用いられてきました。二十四節気は立春から始まり、穀雨は春の季節の最後の節気6つ目の節気です。
○穀雨の語源の由来
穀雨とは「雨降って百穀を潤す」という言葉が由来。「春のやわらかな雨に農作物が潤う」という意味です。種まきや田植えを始める目安にされてきました。穀雨の次は、立夏となり、暦の上では夏が始まります。
○2024年の穀雨はいつ?
2024年の穀雨は、4月19日(金)から5月4日(土)です。
穀雨の時期の習わし、風物詩
雨が多いですが、植物たちは日に日に活気づき生命力があふれる季節となります。穀雨の後半はちょうど大型連休と重なるため、衣替えにも良い時期でしょう。
○おぼろ月夜
春の夜に、月がぼんやりと浮かんでいる様子。雨の多いこの季節、湿り気を含んだ空にある月は、霞がかかり、幻想的に見えます。
○こどもの日
5月5日。年によっては、次の節気の立夏に入ることもあります。もともとこの日は、男の子の成長を祝う伝統行事の「端午の節句(たんごのせっく)」が行われる日ですが、国民の祝日に関する法律で「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する日」として定められました。
○八十八夜
立春から数えて88日目を「八十八夜」と言います。2024年は5月1日です。日本固有の季節を知らせる「雑節」のひとつで、農作業の種まきや茶摘みが行われます。八十八夜に摘まれた茶葉を飲み、無病息災を願う風習あります。
○穀雨が縁起が良いとされる理由
古くから「八十八夜の別れ霜」という言葉もあります。この日以降、農作物への霜害の心配がなくなるとされてきました。「八十八」を重ねると「米」という字になるため、この日に農作業を始めると縁起が良いとの言い伝えも。お祝いをする地域もあります。
○穀雨は衣替えのタイミング
寒暖差があって変わりやすかった春の天気が、次第に安定してくる頃です。地域によりますが、気温が上昇し過ごしやすい気候になります。穀雨の時期を、冬物を片付ける衣替えの目安としても良いでしょう。
穀雨の七十二候 季節の移り変わり
二十四節気の節気(約15日間)を、さらに3つ(約5日間)に分けた季節の目安を「七十二候」と言います。日本特有の季節の移り変わりを感じ取ることができる、古来伝わる区分です。穀雨の七十二候を見てみましょう。
○初候 葭始生(あしはじめてしょうず)
4月19日頃。水辺の葭(あし)が芽吹き始めます。山野の植物が緑に色づく頃。葭は、すだれや屋根などに使われ、人々の生活に関わってきました。
○次候 霜止出苗(しもやみてなえいずる)
4月24日頃。暖かくなって霜が降らなくなる頃です。農作業を始める季節。田植えの準備など、活気にあふれてきます。
○末候 牡丹華(ぼたんはなさく)
4月29日頃。牡丹が開花します。艶やかで美しく、大ぶりで存在感がある姿から「百花の王」と呼ばれています。
穀雨の頃の食べ物
新茶はもちろん、海のもの、山のものがおいしい季節です。
○ニラ
古くから日本人と関係の深い植物です。江戸時代には薬草として栽培されていたとの記録も。アリシン(硫化アリル)が豊富で疲労回復や抗酸化作用などが期待されています。レバニラ炒めやニラ玉なども美味。
○フキ
日本原産で、独特の香りと食感が特徴です。茎の部分を煮つけた「きゃらぶき」が人気です。このほかにも、きんぴらや煮物などにして食べます。暑くなると苦みが増して食用には適さないので、この時期ならではのものです。
○新茶
その年に最初に出てきた新芽を摘み、作ったお茶のこと。旨みや甘み、さわやかな香りが凝縮されている季節限定の茶葉です。茶葉は摘み取った順に、新茶(一番茶)、二番茶、三番茶と呼びます。
○ホタルイカ
光りながら泳ぐ、深海に生息している小さなイカです。主に日本海一体を中心に水揚げされます。通年味わえますが、この季節のホタルイカは産卵期にあたり、大きくて肉厚。やわらかく甘みがあります。
○タケノコ
竹の地下茎から出てくる若い芽のことです。国内で一般的なのは孟宗竹(モウソウチク)のタケノコ。大型で厚みがあり、やわらかくて香り高いのが特徴です。
【参考】
「365日を豊かに過ごす 日本の四季、二十四節気、七十二候」(宝島社)
「にっぽんの七十二候」(エイ出版社、エイはきへんに「世」)
「絵で楽しむ 日本人として知っておきたい二十四節気と七十二候」水野久美書(KADOKAWA)
国立天文台「暦Wiki」七十二候
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/B5A8C0E12FBCB7BDBDC6F3B8F5.html
(鶴丸 和子)
鶴丸 和子(つるまる・かずこ)
和文化・暦研究家。留学先の英国で、社会言語・文化学を学んだのをきっかけに“逆輸入”で日本文化の豊かさを再認識。習わしや食事、季節に寄り添う心、言葉の奥ゆかしさなど和の文化に詰まった古の知恵を、今の暮らしに取り入れる秘訣を発信。
インスタグラム:tsurumarukazu