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ゆで卵と生卵 栄養の違いはある? 卵黄の周囲が黒ずむ理由とは
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教えてくれた人:和漢 歩実
完全栄養食品といわれる卵。価格が高騰していますが、日々の食卓に欠かせない食材のひとつです。卵の手軽な食べ方にゆで卵がありますが、生で食べるのと違いはあるのでしょうか? それぞれの栄養面や消化面などの違いなど、卵の豆知識について、元家庭科教諭で栄養士の和漢歩実さんに伺いました。
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食べ方によって違う? 栄養面や消化面
生卵とゆで卵の栄養価に、ほとんど変わりはありません。しかし、ゆで卵は加熱しているので、ビタミンB群がわずかに減少する可能性があります。
また、消化吸収の観点では、「調理師養成教育全書 食品と栄養の特性」によると胃の中での停滞時間は、生卵(100グラム)が2時間30分、卵焼き(100グラム)が2時間45分、半熟卵(100グラム)が1時間30分。もっとも消化吸収が早いのは半熟卵とされています。
お弁当のおかずとしても人気の卵焼きは、油を使うため脂溶性のビタミン(A・D・E・K)の吸収率をアップさせます。それぞれの良さがあるので、さまざまな卵料理を楽しみましょう。
ゆで卵を古い卵で作るほうが良い理由とは
卵は、ゆですぎると卵黄の周囲が黒ずむことがあります。卵白の硫化水素と卵黄の鉄が化合し、硫化第一鉄という物質が生じるためです。体に悪いものではないので、食べても問題ありません。
ゆで卵を作る際は、新しい卵よりも古い卵を使ったほうが殻をむきやすいです。理由は、新しいものは炭酸ガスが多く、加熱すると膨張して卵白が薄皮に張り付くため。新しい卵は、ゆでたばかりだと皮をむきにくいので、水に浸けて時間が経過するのを待ちましょう。気孔(殻の穴)から炭酸ガスが抜けるので、皮をむきやすくなります。
卵は、調理したものよりも生の状態のほうが長持ちします。生卵の賞味期限は通常2週間ほど。ゆで卵は冷蔵保存でも2~3日程度なので、いったんゆでると日持ちしません。
なお、卵のパックに書かれている期限は賞味期限です。これは冷蔵庫保存で生のままで食べることができる期限のことを言います。購入後はできるだけ早めに食べて、賞味期限が切れたものは必ず加熱しましょう。