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米国で人気のキノコ栽培 自給自足に対する意識の高まりも
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米国ではヒラタケの栽培キットが人気
腐生菌に当たるシイタケ、エノキダケやエリンギなどは、日本でも年中見かける身近な存在ではないでしょうか。これらは、広葉樹のおがくずをメインとし、栄養素にふすま、米ぬか、トウモロコシぬかなどをブレンドした菌床という場所に菌糸を植え付け、培養することができます。
なかでもヒラタケは、栽培、温度管理などが簡単です。条件が合えば、古い家の柱やコンポストから自然発生することもあります。米国では「オイスターマッシュルーム」と呼ばれ、生活用品店や園芸店の棚に栽培キットが並んでいることも多く人気です。
気軽に育てられるよう、販売されている栽培キットは小さなサイズです。モヤシやカイワレなど、スプラウト野菜のマイクログリーンと同じ感覚で、キッチンの片隅で育てることができます。米国では、キノコ栽培を通し「ホームステディング(自給自足)」を暮らしに取り入れる流れが広まっているように感じています。
我が家ではキッチンにとどまらず、バケツに穴を空け、そこにわらとコーヒーカスとドライにしたバナナの皮を混ぜ、キノコの菌糸を植え付けて栽培しています。バケツに生えるキノコの様は、まるでジブリ映画『風の谷のナウシカ』の世界。菌のテラリウムとして楽しむことも、私にとってはキノコ栽培の楽しみのひとつです。
(小田島 勢子)
小田島 勢子(おだしま・せいこ)
ナチュラリスト。結婚を機に2004年に南カリフォルニア州へ移住し、3人の女の子を米国で出産。ロサンゼルスの片田舎でバックヤードに鶏たちと豚のスイ、犬のトウフとともに自然に囲まれた生活を送る。母になったことをきっかけに食や環境の大切さを改めて感じ、できることからコツコツと、手作り調味料や発酵食品、スーパーフードやリビングフードを取り入れた食生活をメインに、食べるものは「できるだけ子どもと一緒に作る」「残さない」がモットー。2015年に「RUSTIC」を設立。日本で取得した調理師の知識や経験を生かして食のアドバイザー、ライフスタイルのコーディネーターとして活動。日米プロスポーツ選手やアクション映画俳優の身体作りのアドバイザー、みそ、お酢、漬け物など発酵食品作りの講師、創作料理のケータリングなど幅広い分野で活躍。
https://rusticfarmla.com/