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仕事・人生

「デザイン原稿用紙」に込められた思い 「見て」情報を整理する仕組みは自身の仕事から

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著者:Hint-Pot編集部・出口 夏奈子

子どもを引き付ける衣装で登壇 「パフォーマーですね」

子ども向けのイベントで教壇に立つ本下さん【写真提供:本下瑞穂】
子ども向けのイベントで教壇に立つ本下さん【写真提供:本下瑞穂】

 今では、書店や文具店などいろいろな場所で販売されていることから、セミナーや講座などで話す機会も多いという本下さん。登壇の際には、原稿柄の洋服や着物など、子どもたちの目を引くファッションを心がけています。

「学校の先生は黒板の前に立って、黒板の中で教えようとしますが、黒板の前に人が立つんだったら、立つ人も子どもたちの視界に入りますよね? だったら、立つ人も視覚的に楽しくしたほうがいいんじゃないかなと思ったんです」

 本下さんは自身を「パフォーマーですね」と笑います。子どもたちの心を惹き付ける作戦は、毎回大成功しているようです。

教育格差のジレンマも 今後の目標とは

 グラフィックデザイナーから経営者へ。教育活動に足を踏み入れたことで、本下さんには気づいたことがあるといいます。それが「教育格差を広げてしまっているのではないか」という懸念です。

「私が指導をさせていただくお子さんの多くが、土地柄もあり私立の小学校に通われています。でも、全国で私立の小学校に通う子どもは全体の2%ほどです。私は、ご家庭から学費としてお金をいただいて事業を行っているのですが、それが結果的に教育格差を広げてしまっているのではないかという可能性に気づいてしまったんです」

 そこで「将来的には、受益者負担にならない教育活動ができるようにしたいと考えている」といいます。「それが私の最終目標」だと、本下さんは語気を強めました。その目標に向かって頭を悩ませながら、これからも教育と向き合う覚悟です。

◇本下瑞穂(ほんげ・みずほ)
京都芸術大学芸術学部情報デザイン学科出身。新卒で入社した印刷会社の企画制作部で、グラフィックデザイナーとしてカタログやリーフレット、ポスターといった紙類のデザインを制作。結婚・妊娠を機に専業主婦に。第1子出産時の壮絶な体験と子どもの教育に責任が伴うことを痛感し、「残せるものを作りたい」と読書感想文がスラスラ書けるようになるデザイン原稿用紙「読書感想文が、よく書ける原稿用紙。」を制作。2017年に株式会社コトバノミカタを設立し、代表取締役社長として子どもの学びや教育に関する事業を展開すると同時に、「作文を楽しくするデザイナー」「伝える力を育むデザイナー」としても活動している。

(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)