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いまさら聞けない「学資保険」って何? 加入すべきかFPが解説

公開日:  /  更新日:

著者:橋浦 多美

学資保険にはみんな入っているの?

 では、どのくらいの人が学資保険に加入しているのでしょうか?

 大手生命保険会社ソニー生命保険が発表した「子どもの教育資金に関する調査2023」の結果を見てみましょう。この調査は、大学生以下の子どもがいる20歳以上の男女1000人に対し、インターネット調査を実施したものです。

高校生以下の子を持つ親の49.7%が学資保険に加入【出典:ソニー生命保険株式会社「子どもの教育資金に関する調査2023」】
高校生以下の子を持つ親の49.7%が学資保険に加入【出典:ソニー生命保険株式会社「子どもの教育資金に関する調査2023」】

 そのなかに「子どもを大学等へ進学させるための教育資金を準備している方法(複数回答可)」という設問があります。高校生以下の子どもを持つ親の場合、教育資金として準備している方法で一番多かったのは「銀行預金」で57.2%となりました。そして、次いで多かったのが「学資保険」で49.7%と、半数近くが加入していることがわかります。

 学資保険の運用自体は金利に左右されます。高金利だった時代は利回りが120%という商品も存在していましたが、低金利が続いている今の日本では、学資保険も運用の利回りが高くない状態が続いています。

 また、途中解約をすると元本割れの状態になることもあります。加入する際は、契約者が支払う保険料の総額に対して受け取り総額がどのくらいの割合であるかを示す「返戻率」(満期保険金+お祝い金÷支払額×100)を参考にして、どのくらいのリターンがあるか、計画性を持っておきたいところです。

結局必要なのは「教育プランと資金そのもの」

 では、結局のところ、学資保険には入ったほうがいいのでしょうか? まずは、学校は公立なのか私立なのか、習い事はどうするのかなど、お子さんの教育をどう考えるかによります。また、祖父母などから資金の援助が期待できるのであれば、それも確認しておきましょう。前回の記事でもお伝えしましたが、学習費は学校の種類によってかなりの差が生まれます。

幼稚園3歳から高等学校第3学年までの15年間の学習費総額【出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果について」】
幼稚園3歳から高等学校第3学年までの15年間の学習費総額【出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果について」】

 どのコースに進学してもそれなりに資金は必要なので、まずは定期的に貯蓄を増やし、教育資金を確保する習慣を持っておく必要があります。

 学資保険は子どもが小さいうちに加入して、大学入学時や高校入学時までの長い間運用する商品です。自分で計画性を持って資金を貯め、増やしていくことができるのであれば、決して必ず入らなくてはいけない商品ではないと思います。

 逆に、運用や計画性にあまり自信がない場合は、万が一の保障なども厚いことから検討してみるのもひとつの手です。

 運用の利回りだけで考えれば、このところ国が国策として力を入れている「NISA」や「つみたてNISA」などのほうが、自分で運用商品を選べるので合っているという人もいるかもしれません。自分に合っている方法を選択するようにしましょう。

 また、学資保険に加入したいけれど資金がないという場合は、まずはお給料をコツコツと貯める習慣から身につけましょう。子どもの口座へ決まった日にお給料から定額自動送金をしたり、児童手当には手をつけずにそのまま貯めたりと、成長するにつれてどんどんかさむ教育費を、子どもが小さいうちからとにかく確保する習慣を持っておく必要があると思われます。

 子どもはかわいいですが、あっという間に成長して学びにお金がかかってきます。親としてしっかりと教育を受けさせてあげるためにも、家族でよく話し合い、しっかりと長期的な計画を立てましょう。

(橋浦 多美)

橋浦 多美(はしうら・たみ)

1973年11月3日、宮城県仙台市生まれ。フリーアナウンサー、ファイナンシャルプランナー。会社員からフリーランスに転身した時にお金の大切さを知り、勉強を始める。現在はファイナンシャルプランナーや宅建士、証券外務員などの資格を取得し、「しゃべれるファイナンシャルプランナー」として、セミナーやラジオにも出演。家計のモットーは「見栄は張らずに、財布が張る家計」。プライベートでは双子男児の母として、出費が一気に2倍になる教育費と格闘中。著書に「四畳半経済のススメ~コンパクトな家計を実現する87のコツ~」(ゴマブックス刊)などがある。