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子ども1人育てるのに2000万円かかるのは本当? FPが教える貯めておくべき金額とは
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2022年には日本の1年間の出生数が初めて80万人を下回るなど、少子化に歯止めがかかりません。「子どもは欲しいけれど費用がかかりすぎて育てられない」「2人目は諦めた」などの声が聞こえてきます。実際に、出産から大学卒業までにかかる費用というのはどれくらいなのでしょうか? その実態を、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持つフリーアナウンサーの橋浦多美さんが解説します。
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出産にかかる費用はいくら? 全国平均で1人あたり46万円
妊娠がわかると、赤ちゃんが産まれた後の生活や名前、仕事をどうするか……など、いろいろと悩みは尽きません。その中のひとつに「産むまでに最終的にいくらかかるのか」という出産費用もあるのではないでしょうか。最近は出産費用も増加傾向にあるといわれますが、実際のところどうなのでしょうか?
社会保障審議会医療保険部会の資料によると、出産費用の合計額は全国平均で約46万円(正常分娩にかかわる直接支払制度専用請求書を集計したものであり、室料差額、産科医療補償制度掛金、その他の費目を除く)という結果になっています。これらは保険適用にならずすべて自己負担で、費用も病院によってまちまちです。
また、妊婦が支払うものとしては、出産費用だけでなく定期的な妊婦健診代があります。自治体によって差はあるものの、1回あたり1000~5000円の診察代を支払うほか、入院の際に個室ベッドを利用した場合や、無痛分娩などを選択するとさらに費用がかかるでしょう。
そこに出産一時金(42万円)がまかなわれるという仕組みです。安心して出産を迎えられるよう、国から出産一時金が出るまでの間に無利子で貸付してもらえる出産費貸付制度などもあります。そのほか、出産のために会社を休み事業主から給与の支払いがない場合には、健康保険組合から出産手当金が支払われます。
この春からは出産一時金が50万円に増える!
2023年4月からの法改正により、出産一時金が42万円から50万円に引き上げられることになっています。出産一時金自体は、本来は出産後に受け取るものでしたが、先に高額な費用を立て替えることになってしまうので、直接支払制度や受け取り代理制度という健康保険が施設に直接払ってくれる仕組みもできています。出産施設が導入している場合は利用できるので、立て替えの必要もなくなるという仕組みです。
出産の費用自体は地域差があり、大都市圏などでは50万円では収まり切らず年々増加傾向に。逆に、地方では50万円の出産一時金でまかなえる場合もあります。また、少子化対策の一環として、将来的には出産費用に保険が適用される可能性もありますが、具体的な実施時期などは今後調整を進める見通しのようです。