仕事・人生
座右の銘は「愚公移山」 28歳で起業したエニタイムズの挑戦は社会の課題解決とビジネスの両立
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幼い頃、国連難民高等弁務官の緒方貞子さんに憧れ国際公務員を志していた、株式会社エニタイムズ代表取締役社長の角田千佳さん。大学卒業後、野村證券、サイバーエージェントに勤め、28歳のときに自身の会社を立ち上げました。さまざまな分野で活躍する女性たちにスポットライトを当て、その人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。後編では、「起業するなんて夢にも思わなかった」と語っていた角田さんが抱く、仕事に対する思いについて伺いました。
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コンセプトは「ご近所で出会って助け合う」 会社はシェアリングエコノミーの先駆け
現在の登録者数は約10万人。全国すべての都道府県にユーザーがいるという、スキルのシェアリングエコノミー「ANYTIMES(エニタイムズ)」を角田さんが立ち上げたのは、28歳のとき。周囲から反対や不安の声はなかったといいます。
実は、角田さんの父親も経営者。30歳前後で会社を退職し、起業しました。そんな父の姿を見て「自分の好きな仕事を楽しそうにしていてかっこいい。仕事って楽しいんだな」と、尊敬していたといいます。「起業するなんて夢にも思わなかった」と口にする角田さんですが、今では「そんな父を見ていたからかもしれない」と思うそうです。
「LIFE SHARE, LIKE SHARE. みんなでつくる、新しい暮らしかた」
これは、株式会社エニタイムズを立ち上げた際の思い。設立から10年経った今でも、事業内容に大きな変化はないといいます。角田さんの会社では、スキルのシェアリングエコノミーのサービスを展開。たとえば、家事や家具の組み立てやペットの世話など日常のちょっとした用事を依頼したい人と、空き時間に仕事をしたいスキルを持った人をマッチングするプラットフォームを運営しています。「ご近所で出会って助け合う」というコンセプトは、角田さんの会社員時代の経験から感じた「働く選択肢を増やしたい」という思いから生まれたものでした。
野村證券時代のお客様に共働きのご家庭や単身者の方、ご年配世代がいたことで、悩みを聞いたり「ちょっと手伝って」と言われてお手伝いしたりする機会も多かったそう。ひと昔前であれば地域内や大家族内で助け合えたことが、人間関係の希薄化が進んだことでできなくなってしまったといいます。
そこで、何かあったときに助け合えるような場所があれば、助けが欲しい人と助けたい人、両者の課題を同時に解決できると考え、シェアリングエコノミーのプラットフォーム「ANYTIMES(エニタイムズ)」を立ち上げました。