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お金

奨学金のタイプはさまざま 利用前に知っておくべきポイントとは FPが解説

公開日:  /  更新日:

著者:橋浦 多美

返済プランは計画性が大事

 奨学金は、貸与が終わった月から一定の期間を経て返済が始まります。たとえば、日本学生支援機構であれば貸与が終了した月の翌月から数えて7か月後に開始。春に卒業すれば10月が初回の返済になります。余裕を持った返済計画を立てることが大切になるので、その頃の収入をイメージしておきましょう。

 厚生労働省が発表している「令和元年賃金構造基本統計調査結果」から、学歴別の初任給の平均額は次の通りです。平均額のため、もちろん人によってこれより多い場合も少ない場合もあります。

・大学院修士課程終了 23万8000円
・大学卒       21万200円
・高専、短大卒    18万3900円

 自宅から通勤する場合は少し余裕があるかもしれませんが、ひとり暮らしで生計を立てる場合は家賃や光熱費、食費などを捻出し、さらに奨学金を返済することになります。節約は必須で、家計のやりくりをしながらの返済は綿密な計画が大切です。

 また多くの場合、失業や傷病など返還困難な事情が生じた際は、手続きを行うことで返還期限を猶予してもらうことができます。しかし、返還すべき元金や利子が免除されないので、とくに有利子で受給した人は返済が遅れると利子も膨らんでいくため、注意が必要です。

 一方、無利子の人は、一定の収入になり支払いの余裕ができるまで返済の期限を猶予してもらうことも可能です。とはいえ、いずれは返すものですから、返済に充てるお金を計画的に貯めておく必要があります。

 返済する際のポイントとしては、お給料が入ったらすぐに返済の口座に移動するような仕組みを作りましょう。定額自動送金を使うと簡単です。自分で行う場合は、毎月決まった日にオンラインで移動するなどの手続きを怠らないようにしなければなりません。給料が入ったからとテンションが上がる気持ちはわかりますが、奨学金の返済は手をつける前に「使ってはいけないお金」として確保しておきましょう。

マネーリテラシーを高めるきっかけに!

 奨学金制度を利用して学ぶことは、学位を取るだけでなく、お金や経済に対して学びを深めていく機会でもあります。学生時代にこれを経験しておくと、無駄のないお金の使い方はもちろん、マネーリテラシーの向上につなげるチャンスとも言えます。

 節約する点に関しては、日々の食費や交際費、スマートフォン代などの固定費を安くする。貯める点に関しては、強制的に先取り預貯金をする仕組みをできるだけ早めに作る――。学生時代から「節約する・貯める・増やす」を徹底することは、将来役に立つ経験になるでしょう。

 社会人になったら、長期的な資産形成という意味で投資を学ぶことも大事です。すぐに増える投機ではなく、時間をかけることでゆっくりと形成される投資を身につけて、長い人生の資産形成を考えておく必要があります。また、税金などの知識もあって困ることはありませんので、世の中のお金の流れを積極的に理解しましょう。

(橋浦 多美)

橋浦 多美(はしうら・たみ)

1973年11月3日、宮城県仙台市生まれ。フリーアナウンサー、ファイナンシャルプランナー。会社員からフリーランスに転身した時にお金の大切さを知り、勉強を始める。現在はファイナンシャルプランナーや宅建士、証券外務員などの資格を取得し、「しゃべれるファイナンシャルプランナー」として、セミナーやラジオにも出演。家計のモットーは「見栄は張らずに、財布が張る家計」。プライベートでは双子男児の母として、出費が一気に2倍になる教育費と格闘中。著書に「四畳半経済のススメ~コンパクトな家計を実現する87のコツ~」(ゴマブックス刊)などがある。