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人気の国家資格「キャリコン」って何? 大事なのは「キャリアは自分のもの」という意識
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日本独自の雇用形態である終身雇用制度の崩壊に伴い、2019年から「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)」が施行され、近年では終身雇用のメンバーシップ型からジョブ型雇用を採用する企業が増えつつあります。そんななか、会社に頼るのではなく、自分のキャリアパスを自ら描く人が増えてきました。そこで注目されているのが、2016年に国家資格となった「キャリアコンサルタント」です。通称「キャリコン」として耳にする機会も増えてきましたが、実際にはどんな資格なのでしょうか。特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会の事務局長・原正紀さん、事業部事業課長・久保真一さんにお話を伺いました。
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「キャリアコンサルタント」ってどんな国家資格? どんな職業?
「キャリアコンサルタントとは、働いている人、これから働こうと考えている人の相談に乗って、キャリアについて一緒に考えたりアドバイスしたりする専門家のことです」
そう教えてくれたのは、特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会の事業部事業課長・久保真一さん。以前にも、「産業カウンセラー」や「キャリアカウンセラー」といった民間資格の認定試験制度がありましたが、それらを2016年に国家資格として発展させたのがキャリアコンサルタントです。
厚生労働省の「キャリアコンサルタントに関する実態調査結果」(2018年公表)によると、男女比は4:6で女性のほうが多く、また年代別では50代、40代の比較的高い年齢層の人が多いのですが、国家資格になってからは20代、30代と若年層が増えており、結果的に全体の平均年齢は下がってきているといいます。
さらに、開催回数を追うごとに受験者数・合格者数ともに増加傾向にあり、厚生労働大臣が認定する講習を受講したあとに受験する試験の合格率は、学科で約80%、実技で約65%となっているのが現状です(今年3月に行われた第22回の結果)。
試験に合格し、資格を取得したあとは、「キャリアコンサルタントとして登録することが基本的な流れになります」と久保さん。登録数も年々増加傾向にあります。必ず登録しなければいけないというわけではないそうですが、キャリアコンサルタントという名称を使って活動するためには、国に登録することが法律により規定されているため注意が必要です。
なぜ、これほど人気が高まってきているのでしょうか。
「これまではビジネスパーソンのなかでも、企業の人事担当者やキャリア支援に関わる職種の人たちが多く学んでいましたが、企業のなかでも個人のキャリアサポートが必要だということで、マネジメントする側の人たちが資格取得を積極的に目指すようになりました」
そう語るのは事務局長の原正紀さん。さらに、「国家資格に生まれ変わったこともありますが、何よりビジネスパーソンの間で『キャリア自律』や『キャリアデザイン』といった自身のキャリアを強く意識するようになったことが大きい」と続けます。
「キャリアコンサルタントという資格は、基本的にはほかの人に対してキャリアコンサルティングを行う資格ですが、自分自身のキャリアプランを考える際にも非常に重要になってきます」(原 事務局長)
近年、働き方にも多様性が求められるようになり、ジョブ型雇用や兼業・副業といった多様なキャリアに対応していく必要性が出てきました。そのためにキャリアコンサルタントのニーズが高まったのではないかと同協議会では考えています。