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人気の国家資格「キャリコン」って何? 大事なのは「キャリアは自分のもの」という意識
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キャリコンは悩みや問題の解決に向かって伴走する「キャリア自律の支援者」
職業としてのキャリアコンサルタントの需要も年々高まっており、キャリアコンサルタントの活動領域には主に4つの領域があります。それが需要調整領域、教育領域、企業領域、そして青少年や女性、医療福祉の領域です。
「需要調整領域とはいわゆるハローワークの業務のことで、教育領域は大学や専門学校、高校・中学校、自治体によっては小学校にもキャリアコンサルタントを置いているところがあるようです。そして、企業領域は従業員に対してキャリア支援を行うことです。そのほかにも地域の若者サポート、女性支援、医療福祉の領域での看護師や介護士の支援があります」(久保さん)
コンサルティングの現場では具体的に、「自己棚卸しツール」や「キャリア&子育て分析シート」などを使って相談者を取り巻く現状把握を行い、今の問題がなんなのか、そして未来のライフステージを可視化します。そのうえで、どうしたいのかを傾聴し、本人が気づいていない部分に気づいてもらいながら解決に向けて一緒に考えていくといいます。
「コンサルタント」という言葉は「ああしなさい、こうしなさい」と指示するようなイメージですが、キャリアコンサルタントはカウンセリングマインドを持ち、相談者に伴走しながら一緒に「キャリア自律できるよう支援する」存在です。だからこそ座学で身につけた知識だけではなく、人生経験や社会経験が実際の現場では役に立ちます。
ライフステージの変化が大きい女性こそキャリアコンサルタントの活用を
日本に「キャリア教育」が導入され、定着するようになって、まだ10~20年ほどのこと。若い世代は学生時代に「キャリア教育」を受けておりなじみがあるそうですが、中高年以上の世代にはあまりなじみがないため、キャリアコンサルタントの資格取得を通して学ぶことで自身のキャリアデザインに役立つと考えられています。
とくに女性は、男性に比べて結婚・妊娠・出産といったライフステージの変化がキャリア形成に影響を及ぼしがち。どのようにキャリアデザインをしていけばいいのか、悩む女性も多いのではないでしょうか。そんなときにこそ、キャリアコンサルタントをうまく活用するといいのかもしれません。
「育児中の女性は孤独になりやすく、子育てのことで頭の中がいっぱいになってしまいがちです。自分で整理しようと思ってもなかなか難しいので、そこを客観的に整理してあげるのがキャリアコンサルタントの役割であり、そういった女性にこそひとりで抱え込まずにキャリアコンサルタントを活用してほしいです」(久保さん)
相談するのか、それとも自ら学ぶのか。大事なのは、「キャリアは自分のもの」という意識を持つことです。
「コミュニケーション能力の高い女性は、キャリアコンサルタントとして大いに期待できると考えています。『人生100年時代』といわれる世の中をどう生き抜いていくか。そのためには、キャリアコンサルタントの手を借りながらも、自分で自分のキャリアを考えるキャリア自律を目指してほしいですね」(久保さん)
キャリアコンサルタントは資格を取って終わりではなく、資格を取ってからがスタートです。現時点では、キャリアコンサルタントとしてフリーランスで活動を始める人は合格者の10%程度。業務の基本はカウンセリングなので、相談者の話に耳を傾けることが大切です。
多様な生き方が許容されるようになった今だからこそ、自分らしい生き方ができるキャリアプランを考えていけたらいいですね。
特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会とは、2016年にキャリアコンサルタントが国家資格になった際、特定非営利活動法人日本キャリア開発協会とともに厚生労働大臣が登録した登録試験機関であり、同大臣が指定する指定登録機関のこと。1997年に山一証券株式会社が経営破綻となり終身雇用制度に揺らぎが見え始めると、1999年には派遣法の大改革が行われるなど、雇用がさらに不安定化。終身雇用制度の崩壊とともに、2002年には厚生労働省が「キャリアコンサルタント5万人計画」を打ち出したことがきっかけとなり、2004年に特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会が設立された。これまで多くの団体がキャリアに関する独自の資格講座や認定試験を行っていたが、2016年に「キャリアコンサルタント」としてひとつの国家資格となった。
(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)