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どうぶつ

ドイツで暮らす元保護猫 避妊手術後に変化も 獣医師が飼い主に伝えたこととは

公開日:  /  更新日:

著者:島崎 英純

猫たちの術後の様子に女医さんも安心

 数週間後、サツキの再診日を迎えました。すでにエリザベスカラーをはずす許可を得ていたココロも、とりあえず一緒に病院へ。女医さんの快活で豪快な声に気圧されながら診察室に入ると、まずひと言。

「あら、ココロも連れてきたの? どれどれ、具合はどうかしら? うん! 良いお股ね! なんにも問題ないわよ~。男の子は元気が一番だからね! あっ、ココロはもう男の子じゃないのか。ガハハ~」

 女医さんの明るい反応に、ホッと一安心。そして、術後に変化が見えて少し心配だったサツキの診察へと移りました。

「うん、うん。サツキもまったく問題ないわね。じゃあ、抜糸するわよ」

 まだ心の準備ができておらず動揺する僕をよそに、女医さんは持っていたハサミを患部に当てて糸を切っていきます。「抜糸ってそんなに簡単なのか……」と僕は拍子抜けするのでした。ちなみに、抜糸されたサツキは至って平気そうです。ひと通り診察を終え、最後に、術後のサツキがべったり甘えてくることを女医さんに報告。すると、女医さんは安心してくれました。

「良かったじゃないの~。猫に愛されるなんて、あなた、幸せね。メス猫にとって、避妊手術はそれなりの負担があるから、サツキも不安だったんだと思うわ。たぶん、サツキはあなたのことを母親だと思っているのよ。これでまた、あなたたちの絆も深まったわね!」

 すったもんだがあった海外での猫たちの去勢・避妊手術。いろいろな出来事を通して、ココロとサツキと僕の共生が日々意義深いものになっていくのを実感しています。

(島崎 英純)

島崎 英純(しまざき・ひでずみ)

1970年生まれ。2001年7月から2006年7月までサッカー専門誌「週刊サッカーダイジェスト」(日本スポーツ企画出版社刊)編集部に勤務し、Jリーグ「浦和レッドダイヤモンズ」を5年間担当。2006年8月にフリーライターとして独立。2018年3月からはドイツに拠点を移してヨーロッパのサッカーシーンを中心に取材活動を展開。子どもの頃は家庭で動物とふれあう環境がなかったが、三十路を越えた時期に突如1匹の猫と出会って大の動物好きに。ちなみに犬も大好きで、ドイツの公共交通機関やカフェ、レストランで犬とともに行動する方々の姿を見て感銘を受け、犬との共生も夢見ている。