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幼少期からマネーリテラシーを学ばせる米国 学校での体験学習はどのようなもの?

公開日:  /  更新日:

著者:小田島 勢子

エレメンタリースクールの3年生一人ひとりが調査、企画、制作、広告、販売まで携わる「マーケティング・デー」【写真:小田島勢子】
エレメンタリースクールの3年生一人ひとりが調査、企画、制作、広告、販売まで携わる「マーケティング・デー」【写真:小田島勢子】

 日本ではタブー視されがちなお金のこと。しかし、米国では幼い頃からお金や仕事について教育しているそう。米ロサンゼルスで娘3人を育てるナチュラリストの小田島勢子さんは、最近、学校で催された体験型学習に深く感銘を受けたといいます。その名も「マーケティング・デー」。米国ではいったいどのような教育を施し、子どもたちにマネーリテラシーを学ばせているのでしょうか。

 ◇ ◇ ◇

商品企画からものづくり、宣伝、販売など一連の体験ができる「マーケティング・デー」

 5月に入り、米国では卒業式のシーズンを迎えました。それとともに学校行事も増え、忙しさに拍車がかかってきたように思います。夏休みを目前に目まぐるしい日々を送る一方で、子どもたちの進級を控える今は一年の成長を感じることができる時期です。親も子も、どこか達成感のような感慨深い思いで、残された登校日を過ごしているように思います。

 先日、エレメンタリースクール(小学校)3年生の娘の「マーケティング・デー」という学校イベントに参加してきました。その名の通りマーケティング(商品を売る仕組みを作ること)を体験する日で、3年生のすべての子どもたちが販売する側になり、商品企画からものづくり、そして広告宣伝を行い商品を販売するという疑似体験をします。

 商品となる素材は、カリフォルニアの自然の資源がテーマ。材料になるものの歴史的な背景などのリサーチから始まり、それを利用した商品をつくり、購入する人にプレゼン(売り込み説明)し販売価格を提示します。

売る側と買う側、それぞれが学んだこと

 幼いながら、企画から販売までのプロセスを体験することで社会勉強をするというこの参加型プロジェクト。資本主義の代表でもある米国ならではの授業の一環とも言えますが、実際に子どものサポートとしてイベントに参加してみると、「いかに効率的に商品を売るか」というマーケティングの意味合い以上に大切な学びがたくさんあると感じました。

○売る側が学んだこと
1. カリフォルニアの自然の資源にはどんなものがあるか、その歴史や現在どんなものに使われ流通しているかをリサーチして、自分が住む土地について知ること
2. 商品開発のアイデアや企画。どんな素材を使い、どんなものを作ると、自分も含め他者(消費者)が喜ぶかを考えること
3. ものづくりにかかる労力やマテリアルにかかる材料費を加味して、適正販売価格を判断・決定すること
4. 広告を作り、商品の特徴や使い方、購買するとどのようなメリットがあるかをみんなにわかりやすく提案すること
5. 商品を売り込む際のアイデアや方法を考えること(実際のお金ではなく、学校から配布される疑似お金で売買します)
6. 売れ行きと販売金額の合計の管理をすること(データ収集と会計)
7. たくさんの商品があるなかから、自分のものが選ばれ購入してもらう喜びを感じること

○買う側が学んだこと
1. お金の使い方や数え方(米国では子どもだけで外出できる年齢に制限があり、親を介さずに買い物をする機会がほとんどありません。また、カードや携帯電話での支払いがメインの現代は現金を使う経験がないため、とても貴重な体験です)
2. 商品購入の順番など、お金の計画性を考える機会になること(渡される疑似お金はみな同じ金額で、そこから計画的に自分が欲しいものを買う)
3. 同じ学校に通い、普段から接している生徒たちが作ったたくさんの商品を見て、選んで自ら購入できること

海の砂と貝殻を小瓶に詰めたネックレス【写真:小田島勢子】
海の砂と貝殻を小瓶に詰めたネックレス【写真:小田島勢子】

 木でできたビーズを使ってキーホルダーを作ったり、海の砂と貝殻を小瓶に入れてネックレスにしたり、鳥の羽根を使い髪飾りにして販売した子どももいました。テーマは同じでも、作品(商品)にはひとつとして同じものはありません。青空の下、どこまでも自由で笑顔いっぱいのイベントとなりました。