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スマホに夢中で育児放棄…「スマホネグレクト」が子どもの発達に及ぼす影響 子育て世代4人に1人が兆候
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スマホ使用時は「無視をせずにコミュニケーションを取ることが大切」
スマホネグレクトに陥らないためには、どのような点に気をつければいいのでしょうか。NPO法人子育て学協会でチャイルド・ファミリーコンサルタントを務める河本晃さんは「どうしてもスマホから手が離せないときは、それをきちんと子どもに伝えるなど、無視をせずにコミュニケーションを取ることが大切です」と話します。
大人同士でも、スマホを見ながら話し半分でスルーされたらモヤッとしますよね。その状態が続くと不信感につながっていく可能性もあります。
「『今は手が離せないから、あと5分だけ待ってね』、用が終わったら『待っててくれてありがとう』と伝えてあげることが大切です。子どもであっても、1歳くらいからは親の事情を理解することができるといわれています。もちろん、理解したうえで駄々をこねることはありますが、ちゃんとコミュニケーションを取り、終わったら相手をしてあげるという約束さえ守ってあげれば、そこまで気にしすぎることはありません」
子どもがこっちを見ている、あるいはこちらに呼びかけているのに気づかない。さらにはスマホの操作を邪魔されてつい怒鳴ってしまったという経験があれば要注意です。1日数時間もSNSやゲームなどでスマホに熱中してしまう、育児や家事に手がつかないという自覚症状がある場合は、そこから抜け出すのは容易ではないかもしれません。
ただ、スマホ依存が強い傾向にあっても、改善方法がないわけではありません。
諸富教授は「日中にどうしても気になってしまうときは、スマホはトイレに置きっぱなしにして、その間だけ触るなどのルールを設けることがおすすめです。心療内科のなかには、ネット依存症に特化したインターネット外来というものもあります。アルコールでもギャンブルでも、依存症にもっとも効果的な治療法はセルフヘルプグループといって、同じ立場の人と話し合うこと。そういう意味では、ときにSNSでの交流が効果的なこともあるでしょう」と話します。物理的にスマホを遠ざける方法や、医療の力を借りてみるのも効果があるかもしれません。
スマホだけに頼らず適切な使い方を心がけて
もちろん、育児においてスマホ利用のすべてが悪というわけではありません。使い方によっては子どもに笑顔をもたらす道具にもなります。
河本さんは「ただアニメや動画を見せるだけでなく、リズムに合わせて踊ったり、スマホで興味を持ったものを実際に街へ観察しに行ったりと、能動的な遊びや想像力ある遊びにつなげていく使い方もできます。数あるおもちゃや遊びのなかのいちツールとして、というとらえ方ですね。スマホだけに頼らず、さまざまな遊びを経験する機会を作ってあげる視点が大切です」と工夫を提案します。
また、諸富教授は「子どもが泣いたとき、スマホがない時代なら親が怒鳴っていたというような場面で、子どもの気をそらすためにYouTubeを見せるなどはむしろ好ましい使い方。スマホはあくまで道具なので、適切な使い方をすることが大事です」と、アドバイスを送りました。
大切なのは親子のふれあい。スマホに頼りすぎることなく、便利なツールのひとつとして上手に活用していきたいですね。
※この記事は、「Hint-Pot」とYahoo!ニュースによる共同連携企画です。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム・佐藤 佑輔)