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イタリアで有名な日本人「エリコカワサキ」とは? 日本人女性YouTuberが目指す未来
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移住経験で培ったイタリアにまつわる役立つ情報 日本人に伝えたい
チャンネル登録者数からもわかる通り、川崎さんの動画は多くの人々に視聴されています。初対面の人でも、男女を問わず街中などで「エリコ」や「エリコッテロ」と気さくに声をかけてくれるそう。
日本人向けのチャンネル「ERIKO ERITALY」を開設したのは、「ERIKOTTERO」のスタートからおよそ1年後のこと。このチャンネルの登録数は、イタリア語チャンネルと比べると約10分の1の約2万6000人(2023年6月20日現在)に留まっているそうですが、もともとは「『ERIKO ERITALY」チャンネルをメインにしたかった」といいます。
それは、自身の経験があったからこそ。イタリアに来る日本人、イタリアに興味がある日本人のために少しでも自分の経験を生かすことができれば……。そんな思いで始めたのだそうです。
「イタリアに来たばかりの頃は言葉が全然わからず、ショッピングも家探しも、音楽院の友達とコミュニケーションを取るのもすごく大変で、いろんなところで苦労しました。ひとりで海外に住むのは簡単なことではありません。これからイタリアに旅行で来る方、留学や移住を考えている方、イタリアで仕事をしたい方などにとって、少しでも役に立つ情報をお伝えできればいいなと思ったんです」
新たな目標は日本人向けイタリア語テレビ番組での現地リポーター
イタリア移住のきっかけである、声楽を生かした歌手活動の第一線からは退きました。ただ、今は新たな目標があると目を輝かせます。
「もう歌のレッスンはしていませんし、人前で歌う機会も少なくなりました。もちろん歌は大好きですが、昔から夢だったテレビに出ることが今の一番の目標なんです」
川崎さんはイタリアの国営テレビをはじめ、すでに複数のテレビ出演を経験。日本でも全国ネットとローカルに出演していますが、具体的に描いている目標とはどのようなことなのでしょうか。
「NHK(Eテレ)のイタリア語講座です。自分が日本にいたとき、この番組ですごく勉強していたという思い入れがあります。当時は現地リポートのコーナーがあったのですが、今の私ならできるって思うんですよ。いつか何かの縁でつながり、イタリア語講座で現地リポートが叶えられたら……とてもうれしいです」
視聴者から寄せられる動画へのコメントは無数のうえ、イタリア人はかなりの長文を送ってくるそうで「なかなかすべてを読み切れない」と苦笑します。
YouTubeやTikTokなどのSNSで情報を発信しているイタリア在住の日本人は何人かいるものの、やはり最古参の第一人者は川崎さん。日本語教師とYouTuberのかけもちは多忙を極めますが、視聴者が喜んでくれるのが何よりの励みになるのだそうです。
「『エリコのおかげで日本語を習うきっかけができた』とか聞くと、本当にうれしいですね。『エリコの動画を観ていなかったら日本に行っていなかった』『エリコの動画を観たから日本での旅が充実した』『日本に留学しようと思った』『大学で日本語を専攻しているのは昔、エリコの動画を観たからだよ』と言ってくれる人も多いんです」
“日本よりイタリアで有名な日本人”である川崎さんは、自身の目標である日本とイタリアの架け橋になるべく、双方の国の日常をこれからも発信し続けていきます。
(河野 正)