コロナによる出入国の規制がなくなった今、日本で行う施術と比べて安く、高い技術の施術を受けられるとあって、韓国の美容クリニックを訪れる日本人の姿を多く見かけるようになりました。なぜ、韓国は“美容大国”と言われるようになったのでしょうか。その理由を紐解くとともに、韓国の美容整形事情について現地を取材しました。

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韓国が“美容大国”と言われるようになったわけ

“美容大国”と呼ばれる韓国。コスメやメイク、ファッションなどが日本の女性の間で人気を呼んでおり、新型コロナウイルスによる入国規制が解除されたこの春からは、美容整形外科や美容の各種施術を受けるため、韓国に渡る女性が増えています。

　美容医療情報アプリ「カンナムオンニ」（Healing Paper社運営、東京都渋谷区）の2023年4月の韓国クリニック予約数は前年同月比20倍という急増ぶりを見せており、韓国の医師に質問できる無料カウンセリングまで開催されているというから驚きです。

　韓国での美容医療や美容整形のニーズが急成長している理由について同社は、1）新型コロナウイルスの水際対策終了に伴う渡航緩和、2）美容・ファッション・K-POPをはじめとする韓国カルチャーブーム、3）国内の美容医療・美容整形の浸透とそれらの最先端を行く韓国美容情報との接触、4）韓国クリニックの施術・手術費用の安価さなどを挙げています。

　韓国の美容専門家によると、韓国では幅広い年齢層で美容整形に対する抵抗感が少なく、美容専門の医師も多いため、渡韓にかかる旅費や宿泊費を加えても、費用全体を見れば日本で施術を受けたときに比べてかなり安く済むといいます。

　韓国で地下鉄に乗っていると気づくことがあります。座席に座っている年配の女性のおでこを見ると、見事にシワがありません。ソウル在住の女性に聞くと「太ももやおしりから脂肪を採取し遠心分離機にかけ、純粋な脂肪だけ取って顔に注入する施術だと思います。シワを改善し若々しい顔になりますが、よく見ると額が少しブヨブヨしている人もいます。手術時間は50分、費用は15万円ほどです」と教えてくれました。

　なにげない日常風景にまで美容整形が入りこんでいる韓国の社会状況は、確かに“美容大国”と呼ぶにふさわしいでしょう。なにせ尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領夫人の金建希（キム・ゴンヒ）氏も、「目の美容整形を受けた」と取材に対してあっさりと答えていますし、韓国ドラマ「キム秘書はいったい、なぜ？」（2018）でヒロインを演じた“女神級の美貌”の持ち主パク・ミニョンも、過去の美容整形を堂々と告白しているほど。「美しくなる」ことにためらいがないのが、韓国なのです。

空港でも美容クリニックを紹介してくれる韓国

　そもそも、国の玄関口からして韓国は違います。ソウルの仁川（インチョン）国際空港に到着した旅行客を迎えるのが「メディカルツーリズムサポートセンター」です。ブース内受付の女性に「顔のシミやシワを除去したいのですが、いい病院はありますか？」と聞くと、すぐにクリニックのパンフレットをいくつか取り出し、「江南（カンナム）のこちらの病院にコンタクトしてください」とすすめられました。有名なクリニックでは日本語のサポートが充実しているため、日本人利用客が多いといいます。

　富裕層が住むソウルの江南エリアには、美容整形外科医が密集。地下鉄の駅から地上に上ると、どのビルにも「成形（整形）外科」の名が付いた病院の標識がびっしりと並んでおり、ある意味、壮観です。

　韓国ドラマ「私のIDはカンナム美人」（2018年）は、美容整形で美しさを手に入れた主人公の成長ラブコメディで、タイトルにある“カンナム美人”とは美容整形を受けた女性を指す言葉として知られています。主人公は幼い頃から容姿のことでいじめを受けており、大学入学を機に美容整形を受けて、全身を大改造した姿で大学に通い始めます。

　同ドラマのように美容整形の手術に家族が付き添い、手術室に向かう娘を「頑張って！」と応援する姿は江南のあちこちの病院で日常的に見られる光景です。では、気になる費用はどのくらいなのでしょうか。

「目の二重手術の場合、埋没法が5～10万円、切開法が10～20万円ほどで、いずれも日本で行うより10万円ほど安いです。一時、韓国での美容整形手術は危ないという声もありましたが、近年は医師の経験や知見に加え、レーザーや注射など医療技術も進歩しているので、多くの海外の芸能人が韓国で美容施術や美容整形手術を受けています」（現地コーディネーター）