Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

からだ・美容

気管支炎や肺炎などを繰り返す…生まれつき免疫が低い疾患の可能性も 医師が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:金兼 弘和

季節に関係なく気管支炎や肺炎などを繰り返す場合はPIDの可能性が…(写真はイメージ)【写真:写真AC】
季節に関係なく気管支炎や肺炎などを繰り返す場合はPIDの可能性が…(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 あなたが日頃から大きく体調を崩すことが多く、ほかの人とちょっと違うなと感じているなら、もしかしたら先天的に免疫に問題がある可能性が。「PID(原発性免疫不全症)」の権威で、東京医科歯科大学大学院小児地域成育医療学講座の金兼弘和教授に解説していただきました。病気でないかのセルフチェックを行いましょう。

 ◇ ◇ ◇

生まれつき免疫が低い「PID(原発性免疫不全症)」とは?

 一般的に、免疫の働きが低下すると、風邪や気管支炎などさまざまな感染症になりやすいと聞いたことがあるでしょう。けれど、季節に関係なく気管支炎や肺炎、中耳炎、副鼻腔炎を繰り返しているのであればただの免疫低下ではなく、免疫のどこかに生まれつき障害のある病気「PID(原発性免疫不全症)」が潜んでいる可能性もあります。PIDは、簡単に言えば「生まれつき免疫が低い」疾患です。PIDの権威である金兼教授は次のように説明します。

「PIDは、免疫のどこかに生まれつき障害があるために発症する疾患の総称です。健常な状態であれば感染しにくい病原体も、うつりやすくなってしまいます。PIDの特徴的な症状は、気管支炎や肺炎、中耳炎、副鼻腔炎などを繰り返すことです。発熱や咳がいつまでも続いたり、入院が必要になったりすることも。このように感染症にかかりやすくなることを易感染性(いかんせんせい)といいます。重症なPIDでは、感染症をこじらせて致死的となることもあります」

 PIDはどのような人が発症しやすいのでしょうか。

「ご家族が同じ症状の場合はPIDの可能性が高くなりますが、ご家族に同じ病気の方がいないことも多くみられます。なかには、一時的な免疫系の未熟性により発症すると思われる病気もあります。免疫細胞である好中球、マクロファジー、B細胞、T細胞などの種類や部位によって400以上の病気に分類されますが、それぞれが非常に希少な疾患です」

PIDの可能性をチェックできる10項目

 もし、PIDかもしれないと思ったらどうすればいいのでしょうか。

「下記は、PIDの可能性をチェックできる10項目です。こちらでチェックしてみてください。2つ以上当てはまるものがある場合は、医療機関の受診をおすすめします」

【PIDチェックリスト】
1. 1年に2回以上、中耳炎にかかる
2. 1年に2回以上、重症副鼻腔炎を繰り返す
3. 2年以上、1年に1回以上肺炎にかかっている
4. 非結核性抗酸菌感染症にかかる
5. 経静脈投与を要する感染症の反復
6. 体重減少を伴う慢性下痢症が見られる
7. 持続性の鵞口瘡(がこうそう)や皮膚真菌症がみられる
8. 2回以上、髄膜炎、骨髄炎、蜂窩織炎、敗血症や、皮下膿瘍、臓器内膿瘍などの深部感染症にかかる
9. 反復性または重症ウイルス感染症(ヘルペス、EBウイルス感染症、サイトメガロウイルス感染症、広範囲のイボ、コンジローマなど)を繰り返す
10. 原発性免疫不全症候群を疑う家族歴がある