からだ・美容
シワを目立たなくするはずがパンパンな顔に…プチ整形で気をつけたいこと 医師が警鐘
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教えてくれた人:佐藤 卓士
シワをゼロにするのではなく、目立たなくするという考えで行って
ヒアルロン酸やボトックスを注入したからといって、必ずしも顔がパンパンに膨れ上がるわけではありません。医師の立場からすると、シワの状態を見極め、適した製剤、適した量を使用し、シワの溝やくぼみをナチュラルに押し上げて目立たなくするよう心がけています。施術前に患者さんとしっかりとお話をし、どこまでシワを目立たなくさせるか、どんな顔を目指すかという理想を共有していきます。
美容医療を受けようという人は美意識が高いので、1回で満足せず、さらに上の美しさを追求していく人も多くいらっしゃいます。よくあるのが、初回の治療で満足したものの毎日鏡を見ているとその顔を見慣れてしまい、最初は気にならなかった目立たないシワが気になり始めること。シワが薄くなり、若々しくなったと周囲が感じていても、本人は少し時間が経つと「シワが目立ってきた」「目元の小ジワもなくしたい」と気になって短いスパンでヒアルロン酸を注入し、不自然に肌が膨れ上がり風船のようになってしまうのです。
ヒアルロン酸は、注入すればするほど肌が内側から膨らんでシワもなくなりますが、むくんだような顔になるというデメリットがあります。ボトックスもやりすぎると筋肉の動きを止めてしまうので、無表情になる恐れが。まぶたが開けづらくなり見えにくい、噛む力が弱くなるといったことが起こる可能性もあるのです。そのことは医師としてきちんとお話をして、注入する量や期間をセーブするように誘導します。しかし、患者さんの強い要望だからといって必要以上にヒアルロン酸を注入する医師もなかにはいます。
ヒアルロン酸やボトックスだけでなく、糸リフトもやりすぎると糸の筋が見えたり、顔が引きつったりして違和感のある顔になります。どの施術もやりすぎは禁物です。効果を持続させるために定期的に行うことはいいのですが、間隔が短くなるとむくんだような不自然な顔になりやすいので、製剤に合わせて一定の期間を空けるようにしましょう。
一度できたシワをなくすことはできません。ゼロにしようと考えず、薄くする、目立たなくするという意識で施術に臨んでください。また、客観的な判断も大切です。施術後、時間が経ち「シワが深くなって老けて見える」と自分で気になっても、周りは意外と気にしていないもの。鏡に映る目の前の自分だけでなく、施術前の写真と見比べたり、身近な人の声に耳を傾けたりして、今の年齢にあった美しさや若々しさを目指したいものです。
(岩淵 美樹)
佐藤 卓士(さとう・たかし)
1970年4月7日生まれ。九州大学医学部卒。岡山大学医学部、杏林大学医学部、都立大塚病院形成外科にて研鑽を積む。医学博士、日本形成外科学会認定専門医、日本レーザー医学会認定レーザー専門医。日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容外科学会、日本レーザー医学会、日本手外科学会、日本創傷外科学会に所属。2018年よりアヴェニュー表参道クリニック院長として、形成外科・皮膚科で学んだ知識と経験を基にわかりやすい説明を心がけ、日々診療を行う。