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大胆なアイデアで映画館をスタバにリニューアル 市場に出現した店舗がソウルの新名所に

公開日:  /  更新日:

著者:鄭 孝俊

京東市場にある、ソウルで一番素敵といわれるスタバ「京東1960店」。店内の様子【写真:鄭孝俊】
京東市場にある、ソウルで一番素敵といわれるスタバ「京東1960店」。店内の様子【写真:鄭孝俊】

 渡韓する日本人が増えているソウルに昨年11月、新たな名所が誕生しました。それは、日本にはまだないという、ちょっと変わったスタイルの「スターバックス コーヒー」(以下、スタバ)。コーヒー好きが多いことで知られる韓国で新たに展開された店舗は、使われていなかった映画館を店舗に再利用するという大胆なものです。いったいどのようなスタバなのか、現地取材しました。

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ソウルでもっともホットなスタバ「スターバックス・京東1960店」

 韓国・ソウルの街を歩いていてよく見かけるのが、世界最大のコーヒーチェーン店であるスタバ。日本でもスタバはおなじみの存在ですが、韓国の店舗数は約1700店(2022年時点)あり、人口1人あたりの店舗数は日本の約2倍というから驚きです。「スタバが多い都市」ランキングでは、米ニューヨークや中国の上海、英ロンドンを抑えてソウルが堂々の1位(2022年時点)。そんなコーヒー好きが多い韓国で、昨年11月に誕生して注目を集めているのが「スターバックス・京東(キョンドン)1960店」です。

 廃業した映画館をリニューアルして新規オープンしたという異例のお店は、生鮮食料品や衣類を扱う古くからの市場がある、にぎやかな場所にかまえられました。突如現れた新名所に、大勢の若者や観光客が連日詰めかけて、さらに活気にあふれています。大胆なアイデアは素晴らしいですが、気になるのはその内部。

京東市場の4番ゲート【写真:鄭孝俊】
京東市場の4番ゲート【写真:鄭孝俊】

 京東市場はソウル最大級の市場で、「ソウルの台所」と呼ばれています。野菜や果物、肉類などの店舗が立ち並ぶアーケードを歩いていると、心が元気になってきます。そんな京東市場の4番ゲートをくぐると、すぐ右手上のほうにスタバの緑色の看板が。

 階段を上がり、英語の大文字で縦に「STARBUCKS」と書かれた扉を開けると、咲き誇る花と緑を映し出すLEDパネルの美しい映像や、レトロな電気製品の数々が飛び込んできます。さらに奥へ進むと、見たことのない光景が広がっていました。無数のテーブルにソファ、オペラ劇場を連想させる左右の階上座席、高い鉄骨天井と木造内装品、レトロな照明器具とコンクリート打ちっぱなしの壁……。古き良き穏やかな雰囲気に包まれるなか、ステージではスタッフがコーヒーやフード類を準備中。まるで映画の登場人物のようにも見えます。

 1960年代に建築され、京東市場本館の3階と4階に入っていた「京東劇場」は、若者が敬遠する伝統市場内に位置していたことで時代の流れとともに不人気に。長い間廃業になっていましたが、「スターバックス コリア」はあえてそこに目をつけました。新規顧客の流入を図るため、古びた映画館をスタバの店舗に大転換するという斬新な発想を実行に移したのです。