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大胆なアイデアで映画館をスタバにリニューアル 市場に出現した店舗がソウルの新名所に
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映画館の形状をいかした内装が素敵
1200平方メートルの広い内部は高低差があり、後方からステージを見下ろすとパノラマ感のある眺望が広がります。客席には、2人席や4人席など全部で約200席があり、若者たちが談笑したりパソコンを広げていたりしています。さらに階段や天井、壁面は映画館の雰囲気を反映したレトロな配色。壁面上部には注文番号が映し出され、その様はまるで映画を観ているようです。
週末には文化芸術公演も催されるため、空席待ちの行列ができるほど。「京東1960店」は、高齢化する市場の顧客を受け入れたうえで、MZ世代(1980年から1995年に生まれたミレニアル世代と、1996年から2015年に生まれたZ世代の総称)の遊び心を刺激して流入を図り、地域社会の振興と共生に役立っています。店舗で販売されるメニューの、一部の価格が地域共生基金として活用されている点も見逃せません。
日本で有名なスタバといえば、100年前の伝統的な日本家屋を改装して造られた「二寧坂ヤサカ茶屋店」(京都府京都市)、伝統的な木組みを用いた「太宰府天満宮表参道店」(福岡県太宰府市)、伝統的な蔵造りの街並みにあり、地域の歴史や地元色を尊重した内装デザインの「川越鐘つき通り店」(埼玉県川越市)などが知られています。しかし、スタバの広報担当者は「映画館をスタバに転換した事例は、日本にはありません」とのこと。
ちなみに、「スターバックス コリア」は韓国大手マート「Eマート」の連結基準子会社です。同社がスタバの全店舗を直営しているためアルバイト従業員はおらず、全員が正社員。正規の指導を受けた従業員からのサービスが提供されるので、顧客からすればコーヒーの仕上がりに信頼感があります。こうしたことも、韓国が“スタバ大国”になっている理由のひとつかもしれません。
ソウルでスタバといえば「ファミエパーク店」が「韓国一美しいスタバ」として評判です。ショッピングスポットとして有名な江南(カンナム)のグルメモール「FAMILLE STATION」内にあります。ドーム型でガラス張りという壮大な外観、高い天井を飛ぶ鳥のモニュメント、豪華絢爛な大時計などが圧巻の雰囲気を放っており、こちらも一見の価値ありですよ。
(鄭 孝俊)
鄭 孝俊(てい・こうしゅん)
元全国紙記者。在職中に東京大学大学院に入学し、仕事の傍ら研究生活に入る。文化人類学やメディア論に関心を持ち、韓国エンターテインメントとファン行動について論文を執筆。専攻は日韓メディア比較論。日本や韓国だけではなく、東南アジアの伝統芸能や食生活にも関心を寄せている。