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栄養バランスが良いアジ 南蛮漬けは理に適った食べ方? 栄養士に聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実
アジは、種類にもよりますが、日本では5~7月頃のものがおいしいといわれています。さまざまな食べ方があり、とくにさっぱりとした味わいの南蛮漬けは、蒸し暑い時期におすすめの一品。アジを油で揚げているものの、野菜も一緒に食べられるので栄養バランスが良く、酢を使うことでも大きなメリットがあるようです。アジや南蛮漬けについて、元家庭科教諭で栄養士の和漢歩実さんに伺いました。
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「アジ」と呼ばれる理由は? 栄養も豊富
日本において、アジは縄文時代の頃には食べられていたとされています。日本近海だけで、マアジやムロアジ、シマアジなど多くのアジ類が存在しますが、一般的にアジというとマアジを指し、ゼイゴと呼ばれる硬くてトゲのあるウロコが体側に沿ってあるのが特徴です。
アジの名の由来は諸説あります。もっとも知られているのは「味が良い」ことから付いたという説です。味が良いだけではなく栄養価も優れ、高たんぱく質、低脂肪、低カロリー。体を形成するのに大切な必須アミノ酸を多く含み、アミノ酸価が100である良質なたんぱく質は免疫機能アップにもつながります。
このほか、脂質の代謝に欠かせないビタミンB2、たんぱく質の代謝に必要なビタミンB6などのビタミンB群、カルシウムの吸収を促し骨や歯を丈夫にするビタミンDも豊富です。とくに青魚に多いといわれるオメガ3脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれており、血中コレステロールの調整や脳の活性化に役立つと注目されています。
これから夏にかけて旬を迎え、小型ですが脂ののったおいしいものが手に入ります。ぜひ食卓に取り入れましょう。
酢の効果で骨まで食べられるのもメリット
アジというと、フライや刺し身、塩焼きなどさまざまな食べ方がありますが、蒸し暑くなるこの季節は南蛮漬けにして食べるのがおすすめ。南蛮漬けとは、魚や肉の唐揚げに、唐辛子やネギなどの野菜を入れて甘酢を絡めた料理です。
そもそも「南蛮」という言葉は、日本だと室町時代から江戸初期にかけて、ポルトガルやスペインとの貿易でもたらされたものに使われていました。諸説ありますが、その言葉が料理にも及び、ネギや唐辛子を香味漬けにしたり、油で揚げたりといった調理法にも用いられるようになったとか。
アジの南蛮漬けは、揚げた小アジとタマネギ、ニンジンやピーマンなどの色鮮やかな野菜を、砂糖、しょうゆ、酢の三杯酢に唐辛子を加えて漬け込んだものです。油で揚げるとオメガ3脂肪酸はおよそ50%損失するといわれていますが、「焼く」「煮る」の調理法では食べることが困難な骨も、揚げると食べやすくなります。
さらに、三杯酢に用いられる酢にはアジの骨をやわらかくする働きも。そのため丸ごと食べることができ、不足しがちなカルシウムがとれます。カルシウムの吸収を促進し、骨や歯を丈夫にするビタミンDとの相乗効果も期待できるので、カルシウムをとる点では理に適った食べ方と言えます。
また、酢のクエン酸は疲労回復に役立ちます。たっぷりの野菜はビタミンやミネラルを含み、見た目もきれいで食欲をそそりますね。さっぱりとした味付けは、ジメジメとした梅雨の季節にぴったりです。日持ちするので、常備食にも良いでしょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾