「痛くない手技で憧れの小顔も夢じゃない」「ゆがみを整えて頭も、顔も小さく！」など、顔が小さくなると宣伝しているエステサロンや整体などの施設をよく見かけますね。また、女性誌でも小顔特集は人気で、マッサージ方法や小顔グッズがよく取り上げられています。小顔矯正や小顔マッサージと呼ばれるものは、どれだけ効果があるのでしょうか。気になっているけれど、正解がどうもわからないという健康や美容の疑問を医師が解説する連載。今回は、小顔矯正について美容形成外科の佐藤卓士医師に伺いました。

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手による圧力で頭蓋骨が動いて顔が小さくなることはない

　結論から言いますと、「骨格を整える」とか「頭蓋骨のゆがみを矯正する」といった骨を動かすかのような表現がされる施術は、医学的には考えられないことです。頭の骨はたくさんのパーツが組み合わさってできているので、骨と骨のつなぎ目があるのは本当です。これを縫合線と呼びますが、ここが開いて隙間ができたり、骨格がゆがんだりすることはあり得ません。頭蓋骨はヒトにとって大切な脳を守る骨ですから、頑丈にできています。手の圧力で簡単に動く骨ではありませんし、どんなに押しても骨の組織が小さくなることはありません。

　消費者庁からも「頭蓋骨にアプローチする」「顔の骨のずれを整える」「骨格から小顔にする」「骨の形ごと矯正する」「頬骨を引き締め、顔を細く」などと謳った広告は根拠がなく、景品表示法違反に当たるとして措置命令が下されています。

　もし手の力で動くのであれば、頬杖をつく癖がある人は片側だけ頬がへこむことになりますし、ちょっとぶつかっただけでも頭の骨が折れて脳がつぶれてしまいます。

「でも、アゴは動くのでは？」と疑問に思う方もいるでしょう。確かに下アゴは動きますし、噛み合わせによってずれが生じる場合も。しかし、アゴのずれを自力で治すことは難しく、根本的な原因である歯並び、不正咬合を治療する必要があります。歯並びを整えるとフェイスラインがシュッと見える場合がありますが、顔が小さくなったわけではなくバランスが整ってすっきり見えるというだけです。