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からだ・美容

小顔矯正で顔を永続的に小さくすることは可能か 美容形成外科医が直球回答

公開日:  /  更新日:

著者:岩淵 美樹

教えてくれた人:佐藤 卓士

リンパの流れを促し、むくみを改善することは可能

 顔や頭皮のマッサージは、リンパや血液の流れを良くすることで余分な水分を早く外に逃がすことができ、むくみの改善につながります。むくんで腫れたような顔を一時的に小さくすることはできますが、時間が経つと戻ってしまうので継続して行うことが大切です。

 寝ている間は重力がかかりにくく、顔に水分が溜まりやすい状態です。起床直後に顔がむくんでいるのはそのせい。起き上がると重力で徐々に水分が下がっていくので、マッサージをしなくてもすっきりとしてきますが、早く水分を逃がすためにマッサージをすることは有効です。

 近年、パソコン操作などデスクワークが増え、前屈みの姿勢で長時間過ごすことが多く、その姿勢のせいでリンパの流れが悪くなり顔がむくみやすくなっています。顔のマッサージをこまめにすることで、すっきりとした状態を保つことができるでしょう。

 マッサージをするときは、肌を傷めないように優しく行いましょう。美顔ローラーなどの器具を使う場合も同様です。力を入れすぎると炎症を起こす可能性がありますので、注意してください。

 繰り返しになりますが、マッサージで顔が小さくなるのは一時的なことで、骨も細胞も小さくなることはありません。もともとの大きさを変えることはできないのです。

 逆に顔が大きくなる可能性はあります。よく、食いしばりが強くなるとエラが張ってくるといわれますが、これは食いしばりに使う咬筋という筋肉が肥大したと考えられます。腹筋や大胸筋のように、筋肉は鍛えれば大きくなりますからそれも自然なこと。噛みしめや食いしばりが強くなると咬筋が発達して、顔が大きくなることはあります。

 肩がこったときにマッサージで筋肉の緊張をゆるめるように、顔の筋肉の強張りをゆるめて血流を良くすることはできますが、それが小顔につながるかというと定かではありません。

鼻の形を整えることも自力では難しい

 小顔矯正と並んで、鼻の形を整える施術や器具も人気のようですね。「鼻は軟骨なので形が変えられる」と宣伝しているようですが、これも医師からするとおすすめできません。確かに鼻の骨はやわらかい軟骨ですが、元に戻る力もあるため、クリップで挟んで形が変わったように見えても数時間後には戻ってしまいます。簡単に形が変わるのであれば、うつぶせ寝をしたあと、鼻がぺちゃんこのままになっているはずですよね?

 毎日数分、継続して行ったとしても鼻の形が変わることはないでしょう。むしろ、不自然な力を加えることで鼻が圧迫され、血流が悪くなったり軟部組織を痛めたりするので、やめたほうがいいですね。

 鼻マッサージも顔全体と同様で、むくみが改善されて鼻がすっきり見えるだけで根本的に小さくなるわけではありませんし、鼻が高くなることもありません。

 1回で顔が変わるといわれる施術の多くは、リンパや血液の流れが良くなり、むくみが改善されて小さくなることを指していると思ったほうがいいでしょう。「骨格のずれを正す」「骨を動かす」と宣伝している施術は要注意です。

(岩淵 美樹)

佐藤 卓士(さとう・たかし)

1970年4月7日生まれ。九州大学医学部卒。岡山大学医学部、杏林大学医学部、都立大塚病院形成外科にて研鑽を積む。医学博士、日本形成外科学会認定専門医、日本レーザー医学会認定レーザー専門医。日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容外科学会、日本レーザー医学会、日本手外科学会、日本創傷外科学会に所属。2018年よりアヴェニュー表参道クリニック院長として、形成外科・皮膚科で学んだ知識と経験を基にわかりやすい説明を心がけ、日々診療を行う。