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からだ・美容

病気が隠れていることも…目の下のクマは子どもも要注意 タイプ別の原因と予防策を医師が解説

公開日:  /  更新日:

著者:岩淵 美樹

教えてくれた人:佐藤 卓士

目の下のたるみによって影ができる黒クマ

 通称「たるみクマ」とも呼ばれるのが、「黒クマ」です。これは目袋がふくらんだり、たるんだりすることで影ができた状態なので、皮膚が黒くなったわけではありません。皮膚を軽く引っ張ったり、上を向いたりするとクマが消えるならば黒クマでしょう。

 目の下のたるみが主な原因ではありますが、子どものときから目が大きく、目袋が出ている人も影ができて黒クマが目立ちやすい傾向にあります。生まれつきの骨格の問題もあるので、セルフでケアすることは難しいクマです。

 加齢によるたるみであれば、肌にハリや弾力を出す化粧品を使うことが対策になりますが、根本的な改善にはなりません。黒クマを薄くするには、目袋を小さくする手術や、目の下のくぼみを浅くするためにヒアルロン酸を注入するなどの美容医療に頼るのもひとつの手です。

クマが濃くなってきたら不調のサインかも

クマには思わぬ体調不良が隠れていることも(写真はイメージ)【写真:写真AC】
クマには思わぬ体調不良が隠れていることも(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 一時的な寝不足や疲れによってクマができるのは過剰に心配することはありませんが、なかなか治らない、急にクマが濃くなってきたときは、病気が潜んでいるかもしれません。

 まず考えられるのは貧血です。青クマは血行不良が主な原因というお話をしましたが、目元だけめぐりが悪いということは考えにくく、全身の血行不良が元になっているはずです。鉄分など栄養不足で貧血に陥っている可能性があるので、バランスの良い食事を取るようにしましょう。

 肝臓の機能が低下すると、血中に黄色い色素が増えて目や皮膚が黄色くなります。いわゆる黄疸です。目の下は皮膚が薄いので、黄疸が出るとクマが目立ちやすくなります。アルコールの多量摂取や肥満だけでなく、ウイルスによって肝炎を起こすこともありますので、子どもでも注意が必要です。

 目の下のクマだけでなく、だるさを訴えている場合は腎臓の機能が低下している可能性もあります。腎臓には血液をろ過して老廃物を体の外に排出する役割がありますが、機能が低下するとろ過ができず血行不良となり、青クマが目立つようになります。

 甲状腺の病気のひとつ、バセドウ病によって黒クマができることもあります。バセドウ病の症状に眼球突出があり、眼球が前に押し出されて飛び出てきます。目袋が肥大し、影ができて黒クマに見えるのです。

 たかがクマと放置せず、むくみやだるさなど気になる不調があれば、早めに病院を受診してください。

(岩淵 美樹)

佐藤 卓士(さとう・たかし)

1970年4月7日生まれ。九州大学医学部卒。岡山大学医学部、杏林大学医学部、都立大塚病院形成外科にて研鑽を積む。医学博士、日本形成外科学会認定専門医、日本レーザー医学会認定レーザー専門医。日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本美容外科学会、日本レーザー医学会、日本手外科学会、日本創傷外科学会に所属。2018年よりアヴェニュー表参道クリニック院長として、形成外科・皮膚科で学んだ知識と経験を基にわかりやすい説明を心がけ、日々診療を行う。