「旅くじ」には地域創生の思いも　今後のユニークな展開にも期待

　さらに、「旅くじ」には地域創生の思いも込められているといいます。

「たとえば、大分県といえば温泉という誰でもすぐに思いつくようなところではなく、旅行者がむしろ『知らなかった』と感じるような場所や物をミッションに入れることで、地域の新しい魅力発見につながるのではないかと考えました」

　ミッションの内容はすべて社内公募。「Peach」には旅好きのスタッフが数多くいるため、彼らが「旅行者に行ってほしい場所」や「楽しんでもらいたいこと」を出し合い、ひとつの場所につき3種類ほどのミッションを選んでいるといいます。採用基準は「レア感」と「クスッと笑えるミッション」だそうです。

「ミッションをクリアしたら、証拠写真を撮影してSNSに投稿してもらっているのですが、カッパ伝説がある北海道の地域では実際にキュウリを持った写真を投稿していただくなど、みなさん本当に真面目にミッションへ取り組んでくださっているんです。私たちも楽しみながら拝見していますが、そういう旅後の楽しみ方も考えながら『旅くじ』を設計しました」

　ようやくコロナ禍による行動制限が解除されました。今年3月には新しい試みとして、旅行代理店のHIS（株式会社エイチ・アイ・エス）とのコラボ商品「宿付き旅くじ」が発売。大阪限定商品ながら、300個が即日完売したそうです。

「『旅くじ』を利用されるシニア世代の方も多いのですが、そのなかにはスマートフォンに不慣れな方も多く、宿泊も含めてすべてがパッケージで付いていたら便利なのに……という声が聞かれていました。ちょうどHISさんと企業同士のおつきあいがあったことから、一緒に宿付きの『旅くじ』ができたらお客様にも喜んでいただけるのではないかということで、企画の実現に至りました」

　コロナ禍で行きたくても行けなかった苦い経験は、旅行者の意識をより旅前に向かわせたようです。旅前のワクワクドキドキが詰まった「旅くじ」は、まさにその旅前の楽しみ方のひとつ。HIS以外にも多くの企業や商品とのコラボ企画が進行中とのことで、今後の展開から目が離せません。今夏、行き先を決めない「旅くじ」で旅行のワクワクドキドキ感を思い出してみてはいかがでしょうか。

（Hint-Pot編集部・出口 夏奈子）