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からだ・美容

もしかして臭い!? 気になる脇汗のにおいの原因と対策法を医師が解説

公開日:  /  更新日:

著者:岩淵 美樹

教えてくれた人:佐藤 卓士

脇汗が気になる季節。対処法は?(写真はイメージ)【写真:写真AC】
脇汗が気になる季節。対処法は?(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 猛暑日が続き、外に出て数分も経たないうちに汗が流れてくることも多いですよね。電車やエレベーターなど人との距離が近くなる場では、汗のにおいも気になります。気になっているけれど、正解がどうもわからないという健康や美容の疑問を医師が解説する連載。今回は、汗のにおいについて美容形成外科の佐藤卓士医師に伺いました。

 ◇ ◇ ◇

かきたての汗は無臭でも、におい成分が含まれている

「汗=臭い」というイメージを持たれている人も多いかもしれませんが、かきたての汗はほぼ無臭です。肌の表面に付いた汚れや皮脂が汗と混ざり、常在菌によって分解されて嫌なにおいとなります。

 汗を出す汗腺は「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類あります。エクリン腺から出る汗はほぼ水分で、残りは塩分です。ほかにもカリウムやマグネシウムなどのミネラル、ブドウ糖、アミノ酸、尿素などがごく微量含まれています。

 汗のもとは血液です。体温が上がると、体温調節をするために脳の視床下部から汗腺に「汗を出しなさい」と指令が出ます。すると血液から水分と塩分、ミネラルやそのほかの成分が汗腺に取り込まれます。汗として皮膚表面に分泌される前に、ほとんどのミネラルやそのほかの成分が血液に再吸収され、ほぼ水分と塩分だけが汗として出てきます。

 しかし、汗として皮膚から出る前の段階で余分な成分を取り除く機能が衰えると、塩分濃度が上がったり老廃物が混ざったりしてベタベタした汗になり、蒸発しにくくにおいが発生しやすくなります。普段、あまり汗をかく習慣がない人ほどベタベタした悪い汗をかきやすいので、適度に汗をかくことは必要です。

ツンとしたにおいの犯人はアポクリン腺からの汗

 気になる脇のにおいのもとは、アポクリン腺から出る汗です。ここから出てくる汗は水分のほかに、脂質やたんぱく質などにおいのもととなる成分を含んでいて、雑菌に分解されるとツンとした特有のにおいを発します。

 アポクリン腺は脇の下や陰部、乳輪周囲にあります。エクリン腺からの汗よりも粘度があり、白濁しています。アポクリン腺は誰にでもありますが、すべての人がワキガ(腋臭症)になるわけではありません。

 ワキガの人はアポクリン腺が大きく、数も多い傾向にあります。また、優性遺伝しますので、両親がワキガの場合は疑ったほうがいいかもしれません。

判断が難しい場合は皮膚科へ

 自分のにおいには慣れてしまい、臭いのか気づきにくいものです。また、デオドラント剤の香りでごまかしているとわかりにくくなっているケースもあります。

 セルフチェックをするならば、一日着ていた洋服を脱ぎ、しばらくしてからにおいをかいでみてください。また、アポクリン腺からの汗は衣類に付くと黄ばむので、脇の部分が黄ばんでいないかも判断材料になります。耳アカが湿っている人も要注意です。

 これらは判断材料にすぎないので、においが気になる、においで困っているという人は皮膚科を受診してください。病院では、ガーゼチェックというもので診断します。脇にガーゼを挟み、軽い運動をしたあとに医師や看護師がにおいを判断するというものです。明確な数値が出るものではありませんが、専門家であり第三者の立場からの診断になります。

 ポピュラーな治療法は、手術によってアポクリン腺を切除するものです。ほかにもワキガの程度によって治療法がいくつかありますので、悩む前に相談をしてください。